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第19話 犯人はお前だ!

 信者たちの祈りが私に集まってくる。


 なんという純粋な感情。


 まるで生まれてきたばかりの赤子のような、無垢なる祈祷。


 これならこの国を覆う結界はますます強固なものになるでしょう。


 あらゆる魔族を焼き尽くす聖なる力。


 それが私の祈りによってもたらされる。


 私は深く自分の内側に意識を向ける。


 そこにはレオン様の姿があった。


 なんと逞しいのだろう。


 あれが私の中に入ったというの?


 だめだ。


 私は聖女。


 邪な気持ちを抱いてはいけない。


 今は儀式の最中。


 集中しなければ。




 ―――ッ!?




 なんで。


 なんでなの。


 なんで私のあそこはこんなにも濡れているの?


 まるで膨大な欲望(民衆の性欲)が私の体に流れ込んでくるような、到底逆らえない情欲。


 分かっている。


 これも全部レオン様のせい。


 レオン様と致したあの日から、私は毎晩そのことを思い出して自分を慰めていた。


 私はなんてえっちな女の子になったのでしょう。


 大祈祷祭エクスタシア・リチュアルの最中だというのに、はしたない。

 

 あぁ、身体が熱い。


 熱すぎる。


 これも全部レオン様のせい。


 あの日以来、レオン様は私を求めてこなかった。


 私はどれほど寂しかったのか。


 分かっている。


 レオン様の気持ちは男性に傾いてる。


 私への愛とレオン様の性欲は別々の方向を向いていることも知ってるわ。


 でも。


 それでも。


 私をもう一度抱いて欲しい。


 あぁ、身体が熱い。


 ◇


 なんてことだ。


 俺の息子がなくなっていた。


 理由は分かっている。


 これは天罰だ。


 俺は聖女様を見て欲情していただけでなく、妻を裏切っていたのだ。


 だから神様の怒りに触れたのだろう。


 妻になんて説明すればいい。


 まだ子供もいないのに、これからはどうしたらいいんだ。


 天罰はこれだけでは終わらなかった。


 息子がなくなっているのに、身体の疼きが止まらない。


 しかし。


 今は自分をどう慰めたらいいのか分からない。


 分からないから、対処の術を知らないのだ。


 いつのまにか俺は股間から手を離して頭を下げていた。


 もう二度と聖女様に欲情しないと誓った。


 だから、どうか、この俺を許してくれ……神様。


 ◇


 民衆の様子がおかしいです。


 みんな腹部を抱えて唸っています。


 理由はすぐに分かりました。


 それも全部セレスティア様(レオン・ヴァルディス)のせいなのです。


 彼はこの大祈祷祭エクスタシア・リチュアルを通して、邪悪な力を民衆にばら蒔いているのでしょう。


 なにが目的かは知らないが、みんなが苦しんでいるのを見て楽しんでいるのです。


 なんて下劣な男。


 さすがは魔王(レオン・ヴァルディス)


 でも。


 あなたの企みは失敗に終わります。


 私はただのメイドではありません。


 小さい頃から訓練を施されていた兵士。


 全てはセレスティア様を守るため。


 並大抵の魔法は私に通じないのです。




 ―――ッ!?




 民衆がみんな頭を下げたですって!?


 どういうことなのでしょう。


 ああ、なるほど、分かりましたわ。


 洗脳、と言ったところでしょうか。


 レオン・ヴァルディスの真の目的が分かったのです。


 全てはこの国を支配するため。


 それがこの男の真の狙いなのでしょう。




 このクソ野郎が!!!!!




 私は怒りで震えていました。


 レオン・ヴァルディス(魔王)は自分が倒されたふりして、勇者となりました。


 そしてセレスティア様に近づいて聖女様の身体を乗っ取ります。


 さらに大祈祷祭エクスタシア・リチュアルを利用して広範囲な催眠魔法を使ってこの国を意のままに操ろうとしているのです。


 なんと緻密な計画。


 私でなければ見抜けないところでした。


 どうしましょう。


 私は並大抵の人間より強いとはいえ、数万人の|民衆《レオン・ヴァルディスの手下》を相手にするのは分が悪すぎます。


 この国を救えるのは私たった一人。


 この世界の運命は私の肩にかかっていると言っても過言ではありません。


 しかし。


 今はまだ動く時ではないのです。


 私は唇を噛んで、胸の痛みを我慢していました。


 ◇


 やはり俺の力は回復している。


 あれほどザワついてた観衆たちは今は敬虔に頭を下げている。


 もしかして呪いの類いではないのかもしれない。


 だとすると犯人はあの(王子)ではない?


 じゃ、一体誰がこんな大規模な撹乱魔法を使っていたのだ。


 


 ―――ッ!?




 盲点だった。


 全てが繋がった。


 先日の超遠距離攻撃魔法。


 あれはセレスティア様の結界によって阻まれていた。


 だから、この国に侵入して結界を強化するための大祈祷祭エクスタシア・リチュアルをぶち壊すつもりだ。


 俺としたことが。


 こんな簡単な仕組みすら見抜けなかった。


 ならば犯人はこの観衆に紛れているはず。


 これほどの大規模撹乱魔法を遠距離で行使できるとは考えにくい。


 俺は【万能感知】で周囲を観察する。


 いた。


 一人だけ自分の身体を抱えて震えている人間が。


 俺によって自分の陰謀を打ち砕かれたのがよほど悔しいのだろう。


 感じる。


 邪な気持ち。


 邪悪な魔力。


 欲望(性欲)がダダ漏れている。


 なるほど。


 そういうことか。


 自分から死を求めていたとはいえ、可憐な少女を(ころ)してその姿を奪う。


 全てはセレスティア様の近くに潜るため。


 涙が出た。


 ルミナリア。


 今だけ名前で呼ばせてくれ。


 貴女の死は決して無駄なんかではない。


 おかげで敵の企みに気づいたのだ。


 しかし。


 俺はいまセレスティア様の傍を離れるわけにはいかない。


 敵は一人とは限らないのだ。


 だから、俺は分身の魔法を使った。


 待っていろ。


 いますぐ貴女(の身体)を解放してやる。

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