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第4話 護衛依頼

「あらリセルさん、おはようございます!」

「おはようございますアクレスさん」


 俺は朝飯をまたパンで軽く済ませ、お金を稼ぐために冒険者ギルドに来ていた。

 最も、他にも理由はあるが。


『今日もゴブリンか?』

『いや、冒険者ランク上げたいって思ってたから、今日は少しだけ報酬が高い依頼にしようと思ってたんだけど、大丈夫かな?』


『昨日ランクが上がったばっかりなのに、またか?』


 クロエが言うように、ランクはEからDに上がった。

 EからDに上がるには少しだけ日にちが必要ってアクレスさんが言ってたんだけど、スライムを倒して、ゴブリンも倒しているから、もう大丈夫だろうと安心されて上がったのだ。

 最終的にランクはAを目指して、それ以上もそれ以下も目指さないように決めた。

 ゆったり生活できれば俺はそれでいいし、たまにモンスターを倒せればそれで良かったからだ。



『まぁリセルの強さならまだ良いと思うが、その防具じゃやはり心配だ』


『あー………』



 防具と言っても、俺が着ているのはクロエからもらった異世界の服一枚をそのまま着ているだけ。

 ズボンも同じように一枚履いているだけで、敵の攻撃を食らったらやばいだろう。

 あと、個人的に防具も欲しいなって思っていた。武器も合わせて。

 一応クロエからくれたこの剣があるんだけど、昨日のスライム討伐とゴブリン討伐で、少しだけ刃毀れしてるように見える。

 剣のことはあまり良くわからないけど、もっと剣の重さがあれば一撃一撃が重たく刺さると思うし、耐久力があるほうが節約も多分だけどできるだろう。

 剣の値段とかが関与して、全然節約できなかったりしたら終わりだがな。


『ならできるだけモンスター討伐は避けて稼げる依頼を探すか』

『そのほうが良い。 資金も足りないだろうからな』


 俺は依頼が掲示されているところへ歩いた。

 できるだけ傷は負いたくないしなぁ。またスライムとかゴブリンのほうがいいんだけど。

 まぁそれか他の弱い魔物。


 …というかクロエは最初、戦える依頼を受けろって俺に言ってきたよな?

 まぁそんな思いを俺は聞きもしないで月見草採取の依頼にしたんだけど、どうも前の考えとは矛盾しているように思えるな…

 まぁただただ「リセルは戦闘経験を積んだ方が良いからだ」とか言う理由なのだろう。

 そこまで深く考える理由もない。


 クロエは何も返答しなかった。

 そして依頼内容をじっくり読んでいるようにも見える。

 最も、クロエの実物はないが。



『お、これなんてどうだ?』

『どういう依頼だ?』


『「商人の護衛依頼」、だそうだ

 あたしの経験談だと、こういう依頼は商人からの”おこぼれ”をもらえることが多い』

『”おこぼれ”? そりゃなんぞや』

『あたしがそう呼んでいるだけなんだが、商人が売っている商品を無料とか、割引で売ってくれたり、その地域の有名なものことを貰えたりやれたりと、いろんな経験とか物が手に入ることが多い』

『なぁるほど

 ふむふむ、報酬も銀貨14枚。 結構美味しい依頼だな

 これにするよ』

『わかった』


 それにしても銀貨14枚?

 なんで金貨にして表記しないのだろうか。俺がなんかミスってる?

 …わからねぇ。まぁいいや、この商人にでも依頼中に聞こう。


 えーっと、依頼主は「イリアさん」と言うらしい。女性だ。

 歩いて数時間の離れた町に商品を売り込みに行くそうだ。

 そのためにも傷を負いたくないし、商品になにか損傷してしまったら困るから、という理由で依頼したらしい。

 こういう詳細を見れるのも冒険者の”楽しみ”とかなんだろうか。

 読んでる俺は結構楽しい。


 そんなことを思いながらも、俺は依頼内容が書かれている紙をアクレスさんに渡した。


「『商人の護衛依頼』、ですね。 リセルさんは冒険者になって1日でゴブリン退治の依頼に出たので、大丈夫でしょう!」

「町に行く途中で強い魔物に遭遇、とか流石にないですよね?」

「はい! 多少の”異変”がなければ大丈夫だと思います!」

「異変…ですか?」

「…? 知らないのですか?」

「あ、はい…」


 そういえば異世界人ってみんなにバラした方がいいのかな?

 そっちのほうが話が早いと思うんだけど、なんとなく”異世界人”ってだけで拘束されそうだな…


『その方が良い。 異世界人なんてこの世界に居ないも同然だからな

 少なくとも、あたしは目にしたことも聞いたこともない』

『まぁだよな。 適当な理由並べて避けるわ』


「あーっと、俺、結構田舎からここのアークトに来てまして、知らないことが多いんですよ

 アクレスさん、教えていただけませんかね?」

「そういうことでしたか! わかりました!!」


 そう言ったけど、「田舎ってどこの田舎?」とか聞かれたら終わりだな。

 そのうちこの世界の地図とか買って調べとこう。

 クロエさんに聞く手もあるけどー…

 どうせ知らないよな。うん。


 アクレスさんはなんとなく理解してくれ、”異変”とやらを説明し始めた。


「まずまずここらへんで起こったことはないし、起こったとしてもなにも問題はないのですが、”異変”というのは、魔物が活性化することです

 あ、ですが、今から皆さんが行く町の近くでは”異変”が起こったそうですね。 最も、もう”異変”は冒険者さんたちが終わらせたらしいです

 まぁそこらへんの原理は私も知らないのですが、魔力がそこに溜まることで魔物が活性化するらしいのです

 強くなるというわけではないのですが、魔力を求めて彷徨うように、魔物がそこに集まってしまうのです

 ですが、そこまで魔物が集まると言った心配はありません。 第一に、その町の周辺や行く道の魔物は大体狩りつくされてますからね」


「そうなんですか……… わかりやすく説明してくださりありがとうございます!」


 魔力が集まると魔物が集まってくるのか…

 どういう原理なんだろうか。

 …まず魔物というのは何者………?

 Web小説で魔物を倒している描写を色々と見てきたけど、魔物ってまずまずどうやってできるんだ?

 …うーむ、良くわからんけど、物知りのクロエさんがいるし、そのうち答えてもらおう。


「まぁそんな感じですね

 えっと、依頼を受注するでよろしいですか?」

「はい!お願いします!」

「わかりました! えーっと時間は…あ、もうすぐですね

 冒険者ギルドの外でイリアさんが待ってると思いますので、行ったら会えると思います!」

「…? わ、わかりました」



 俺はアクレスさんに言われて冒険者ギルドを出ることにした。

 それにしてもすぐ依頼が始まるのか。ギリギリに依頼を受注することができたってことなのかな?

 わからんけど、まぁ結構好都合。

 早く依頼をこなして報酬をもらいたかったからね。


 俺は冒険者ギルドの扉を開けた。

 そしてあたりを見渡す。



「………絶対あの人だ」

『………だな』


 俺が見たのは、ギルドのちょうど前にあるベンチに座っている緑色の長い髪の女性だった。

 俯いていて、明らかに病んでいる感じだ。

 ちょっと話しかけるのは気が引けるが、まぁ依頼だ。ちゃんとこなそう。


 俺はそのベンチのほうへ行き、その女性に話しかけた。



「えーっと、イリアさん、ですか?」

「どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう」

「あ、あー…あのー………」

「あん? ボクは今忙しいんだ。話しかけないでおくれ。」



 こ、怖いぃ!!!

「どうしよう」ってめっちゃ連呼してて、話しかけたらギロッと俺の顔見てきた!!

 怖すぎる!!!ってかどこも忙しそうに見えない!!!



 …お、落ち着け、リセル・インサニア。

 普通に、自然体で話しかければ、行けるはず………



「えぇーっと、依頼主さんのイリアさん、ですか?」


「依頼…主?」



 よ、よかったぁ…

 依頼主って言ったら理解してくれたぁ………


 とそんなことを思ってたら、そのイリアさんはベンチから飛び跳ねた。


「や、やったぁ!!!!」

「…? やったぁ?」

「いやーね、こんな見た目してるし、報酬もしょぼいからって依頼を受けてくれる人が居なかったんだよぉ…

 本当に良かった!これでルト町の人たちを救える!」

「そ、そうなんですか…?」

「うん!ありがと少年!!」


「こんな見た目」とか自分で言ってるが、個人的に美人と思える顔をしていると思った。

 整った顔で、でも少しだけ童顔か?なんだか幼く見える。

 笑ったからだろうか?まぁ少なからずさっきのイリアさんは怖かったけど。

 そんなこんなで、俺は依頼主を探し当てることに成功した。



 ◇ ◇ ◇



 俺はアークトから外れた、森の前まで来た。

 この森を通るのかと思ったが、この森をたどりながら右に進むらしい。


「イリアさんはあっちの町で何を売るんですか?」

「ルト町で? これだよ、これ!」


 そこまで意識してなかったけど、今から行く街は「ルト町」と言うらしい。

 名前とかを聞くとやはり異世界なんだなってまた再認識する。

 慣れないなぁ。


 そのままイリアさんは立ち止まってバッグから物を出してもらった。

 バッグ、というより、魔法…?


「えっと、このバッグは?」


 イリアさんが手を入れたバッグは、白色に光っていて、中が見えない。

 魔法かなんかで増幅してるのか?


「あー、これ?これはアイテムボックスだよ

 初めて見た?」

「はい、そうですね」

「これはねー、見た目の割に物がたくさん入るバッグなんだよ

 ほら、背中に背負えるくらいの大きさだけど、実は…」


 そう言いながらイリアさんはバッグからポーションとやらを出した。

 と思ったら…



「こんな大量に!?」

「へへーん、この大きさで”マナポーション”が30本入るんだよ~」

「めっちゃ便利ですね!」


 今の俺は剣だけしか持ってないけど、そのうち必要なものとかが揃うだろう。

 そう考えたら俺も欲しいな、アイテムボックス。

 まぁそう思ったら聞いてみるのが一番良いな。


「どこで買えるんですか?」

「これ? 今から行くルト町で、銀貨10枚で買えるよー」

「うぐっ、結構張りますね…」

「そうかな? 金貨1枚よりはだいぶ安いよ~」


 あ、そうだ。お金だ。

 依頼を受けるときも疑問に思ったけど、すっかり忘れてた。


 俺はイリアさんのポーションをバッグに入れるのを手伝いながら聞いた。


「俺、田舎者でこの町のことをよく知らないんですけど、それと同時であまりお金のことも知らないんですよ…

 そこで聞きたいんですけど、銀貨何枚で金貨1枚になるんですか?」

「ほほー、珍しい人だねリセル君。 お金のことを知らないとは

 えぇっとね、銀貨が…ヒーフーミー………」


 そのまま聞くとイリアさんは指を使って数え始めた。

 そこまで知らないということなのだろうか?普通商人ならそこらへんしっかりしててすぐ出ると思ったんだけど…



「銀貨が、100枚だね」

「100枚!???」



 ごめん、めっちゃ勘違いしてた。

 ってことは?


 ・金貨1枚→10万

 ・銀貨1枚→1000円

 ・銅貨1枚→100円


 ってことになると。

 ならなんでお札があるんだ…?金貨だけで十分なのでは…?


「えーっとね、お札は大富豪のために設けられたようなもんだよ

 金貨を色々と持っていても荷物になるだけだからね」

「な、なるほど…」


 俺の心でも読んでる?

 まぁそんなことはどうでもいいとして、お札がそんなに高いとは…

 目にすることはこれからはないだろう。

 いや、一回見てみたいけど…

 だって偽造とかできそうじゃない?わからないけど。


「すみません、ありがとうございます。」

「いや全然大丈夫だよ! むしろボクがお世話になってるしね。 これくらいのことはやって当然だよ!」

「…ありがとうございます!」


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