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第12話 次の街へ

 南を目指すことにした俺だが、地図を見る限り真ん中に海があるから行けなくなってしまった。

 船があると聞いたがそれもそれでお金がかかってしまうらしい。

 手持ちのお金でギリギリ残る部分、もっと余裕を持って行きたいから最終的にお金を稼ぐことに専念し、まずは北にある「シルヴァス」という街に向かおうと思う。

 まぁ剣を作るだけが目的じゃないし、長くなった方がそれほど強くなれるからな。


 行くときには忘れてて聞けなかったがクロエから聞くと、シルヴァスは元々獣人の街だったらしい。

 だが、南、それこそ剣を作ってくれる鍛冶屋がある所で、名前はミレスタと言い、そこにいた街長が獣人族に目を付け、そのシルヴァスごと襲ったのだ。

 俺が前に読んでいたWeb小説にはなかったが、よくある”テンプレ”みたいな物だろう。

 案の定その襲う計画は上手く行き、シルヴァスはミレスタの街民の”物”となった。

 でもそのことに強く反対した人も少数だがいるわけであり、街民のみんながみんなそんな小賢しいことをしようと企んでいたわけではないらしい。

 でも少数だからそんな人たちはすぐあぶりだされ、街を追い出されたり殺されたりと色々としたらしい。

 クロエが言うにはそんなミレスタから身を潜めて逃げてきたのがあのてんちょーなのではないか、ということだったのだ。


 まぁだから、気を付けて街に入らないといけない。 なにされるかわかんないしな。

 と、言うよりも――



「アークト離れた瞬間からこれかよ…」

『戦闘経験が積めるんだ。 良いことだと思えリセル』



 目の前にいるのは、アークトを出る前に武器を試しに戦ったちょっと大きいゴブリンが数十匹。

 クロエが言うにはホブゴブリンと言うらしい。Web小説にハマってたとしても魔物とか全然わかんないな俺。

 まぁこの旅で魔物も覚えていくことにしよう。



「ウガァァァァ!!!」


『来るぞリセル!』

「わかってる!」


 3匹のホブゴブリンが俺に向かってジャンプし、持っている木の棒を振り上げながら襲ってくる。

 どう戦おうか一瞬考えるが、そんな時間はない。



「シャキンッッッ!!!」



 だから思うがままに剣でそのホブゴブリンらを切り裂いた。

 やはり剣の問題だろうか、あまり切れ味が悪くてずしりと剣にホブゴブリンの体重らしき負荷がかかる。

 まぁでも案外それがヒットし、そのままホブゴブリンらは腹を切り裂かれ、ぴちゃぴちゃと血が地面に零れ落ちる。



「ウガァ…」



 流石にやりすぎたのか、後ろにいたホブゴブリンらは一歩身を引く。

 だが――



「ウガァァァァァ!!!」



 そんなことを見ないで俺の背後に付いた1匹のホブゴブリンは、普通に俺を襲ってくる。



「シャキンッッッ!!!」



 俺はまたホブゴブリンの腹を切り裂いた。



 ◇ ◇ ◇



「やっぱ剣使いづらいな」

『リセル、さっき魔法使ったよな』

「切れ味が悪くてさ」


 あまり入れたくなかったが、アイテムボックスの中にホブゴブリンからそぎ落とした耳を入れて、休憩がてら倒れている木に座っている。

 そのまま魔法で生成した水を手で掬い飲んでいる。 熱中症対策ってやつだな。

 そういえば言ってなかったが、アークトからシルヴァスという街に行く間には森がある。

 ルト町に行くときに辿っていた森ではないが、俺が初めて冒険者の依頼を受けた薬草を取って見た森と同じ場所だ。

 ルト町に行くときに気づかなかったが反対側だったらしい。 自然が豊か過ぎてわからなかったわ。


 俺はそのまま背中に装備されている鞘から剣を取り出す。

 良く見ると少しだけ刃毀れしている。


「やっぱなんか使い方が悪いのかなぁ」

『いや、リセルの力が強すぎるだけだ

 剣の耐久値がないだけ』

「そーだといいんだけど」


「シルヴァスに良い剣売ってないかな?」とクロエに聞くと、『やはりあのてんちょーとやらが言った鍛冶屋が一番良いと思う。 あたしでも知ってるからな』と返されてしまった。


 そのまま刃毀れしている剣を人差し指でなぞってみる。


「いてっ」


 すると刃毀れしてて刃がガタガタになっているところに当たってしまい、ツーっと血が指に滴る。

 瞬時に指を咥えて唾で何とかしようとするが、「あっ魔法あるじゃん」と思い出したようにそれを使った。

 一瞬「はぁ」と結構大きい溜息が聞こえたような気がするが、多分幻聴だ。うん。



『そういえばオークと戦った時にリセルが、折れた剣に魔法を纏わりつかせるというか、魔力を流し込んで剣として使う、というのがあっただろ?』

「あぁあれね。 結構瞬時に考えたから行けるかなって思ったけど、マナポーション飲んでたからそれほど魔法が強くなったんだと思うけど、それがどーした?」


 クロエが前言ってたように、「イメージ力が強いと魔法も強くなる」というのも一理あるかもしれないが、やはり魔力がなければ何も変わらないと個人的に思う。

 魔力が無かったら魔法が使えないし、イメージ力が強くても魔力の燃費が減ると言った事例はないだろう。

 次からはマナポーションを蓄えといて、膨大な魔力を使わないとできないみたいなイメージが湧いたらマナポーションで魔力増幅してからその魔法を使お。


 そんなことを考えながら俺は、剣を鞘にしまった。

 えっと、だいぶ話が脱線してしまったな。なんだっけ?剣の話?


 また結構大きな溜息が聞こえた気がするが多分幻聴だろう。うん。

 そのままクロエは話し始める。


『…えっとだな、リセルのやったような剣、だから魔力を流す用の剣はこの世界に実在しているということだ』

「魔力を流す用の剣?」


 俺はそのままクロエに疑問を打ち付けるような感じで答えた。

 そうするとクロエは『うん』と小さく頷いた。


『リセルのやったような剣よりも少しだけ便利な代物だ

 魔力を流し込むというイメージをして剣を振るだけで、その剣の効果が発揮される』

「ん、効果とは?」

『えっとそうだな、例えば…

 あっあれだ。 炎の塊が出るとか』


 結構なチート武器やんけ。

 俺はWeb小説を見てソードマンに憧れたから魔法なんか興味は微塵もないが、戦闘に使えばそれだけ自分を勝利に導けると言った理由があるからだ。

 剣と魔法をプラスするって………やっぱロマンに欠けるし、だったら魔法でそのまま炎出せばよくね?とも思う。

 まぁでも「魔力を流し込む」だけの作業だったら炎を出すよりかは簡単なのかな。

 俺はクロエに教えてもらってというか、ただただイメージをするだけという簡単な作業だったから魔法が繰り出せるわけだし…まぁ良くわからん。


「そうか…

 …やっぱ普通の剣だな」

『リセルならそう言うと思った

 まぁあれだけ剣一本と魔法で戦えるのならそんな不公平な武器はいらないよね

 本当の強さとも言わないだろうし』

「まぁそれはそれで言える」


 本当の強さとは言わない。

 まぁそれもそうだろう。 他の人の知恵を借りて、自分は努力もせず、「これが最強だ」と語るのならやっぱり胸糞悪い。


 でもそう考えるのなら剣を使って戦うのも不公平なんじゃないのかとも思う。

 拳で戦う人がいて、魔法で戦う人がいて…これらはこの世界の人間がなにか物に頼っているわけではない。

 でも剣は…振りかざせば切れて、あまり効果はないけれど防御として使うこともできて、と、やっぱり剣もクロエが言った剣のように見えてしまう。



『だがリセル、そこまで行くと哲学的になってしまう

 考えても無駄だ』


 一度無音になったからだろうか、すべて聞いていたかのようにクロエが口を挟んだ。

 まぁそれもそうか、俺みたいなやつが考えても無駄。 ってか人間が考えてしまったらいろんな考えがあってまとめるのにも大変そう。

 なんだか、考えすぎたようだ。


「そうだなクロエ、ありがと」

『リセルは考え事が多い。 まぁそれが魔法を使うことに関連してイメージ力が強くなるのかもしれないが、戦闘以外の考え事は少しだけ控えるようにしろ』


 俺は「はーい」と返事をした。



 そのまま休憩していると、ふと疑問に思うことがあった。


 そう、俺が来る前の話。


 クロエはどんなことをしていてーとか、周りからはどのように思われていてーとか、どんな人生を送っていてーとか、やはり聞いてみたいものだ。

 前は深堀しないほうがいいと考えてしなかったのだが、今の俺だとクロエに認められる強さがあって、唯一話せるという信頼性も持っている。

 俺がこの世界に呼び出された理由を、俺が来る前のクロエの様子を、やはり知りたい。


 そう思った俺は鞘を背中に装備した。

 そして聞こうとすると、




『なにも話さないぞ』

「あ、そーだった全部聞かれてるんだった。」


 くっそ、しくった。 前まで会話していたのが「人と話しているんだ」と勝手に思い込んでしまった。

「まぁいっか」と俺はその場に立ち、方位磁針を取り出した。


『いや、でも………』

「…?でも?」


 取り出したのと同時にクロエがそう口を挟んだ。

 理由があるのは俺でもわかる。でもその理由を聞き出すだけで結構な時間だったり、覚悟がやはり必要だ。

 …まぁ気になるのは山々だが、知らない方が良かったことも多分あるだろう。


 そのままクロエは「うーん…」と頭を悩ませている。

 そんなクロエに俺は「言わなくて大丈夫だ」と答えた。

 そこまで悩む理由があるのなら後回しにした方がいい。どうせそのうち説明しなくてはならない場面が出るから、その時に聞こうと思う。


「よし、行くぞ」

『…わかった。』


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