表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIレストランへようこそ-来店は一度だけ-  作者: おでんし


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/82

視界をたたむ夜

プロンプト

登場人物:眼鏡販売店員 20代 女性

店の扉が静かに開く。

カウンターの奥で、店長は火を落とし、湯気の向こうを見る。


サポーターの男が、小さなカードを差し出す。


「店長、個人認証カードです」


店長は受け取り、目を落とす。


――

職業:眼鏡販売店員

年齢:20代

性別:女性

――


店長は、うなずく。


「店長、最初は“視界を休ませる”ところからいこう」



一品目


《曇りをほどく白だし茶碗蒸し》


店長は静かに器を置く。


「まずはこれをどうぞ。今日は、たくさん“見る”仕事をしてきた目を休ませる一品です」


湯気が立ちのぼり、白だしの香りがやさしく広がる。


客はスプーンを入れ、少し驚いたように言う。


『…薄いのに、ちゃんと味が残ります』


「でしょう。毎日、レンズ越しに人の顔を見る仕事は、思っている以上に神経を使います。これは、ピントを外す料理です」


サポーターの男は、静かに次の仕込みに入る。



二品目


《焦点を外す 根菜と鶏の温椀》


少し深めの椀が差し出される。


「次は、焦点を決めない料理です。根菜も鶏も、あえて切り揃えていません」


『お客様に似合うかどうか、いつも正解を探してしまって…』


客の声は、椀の中に落ちていく。


「似合う、は一つじゃありません。だから今日は、形をそろえない」


スープを飲んだ客の肩が、少し下がる。


『…選ばせる側なのに、選び続けて疲れてたのかもしれません』


店長は、黙ってうなずいた。



三品目


《視界をたたむ 黒糖とミルクの寒天》


最後の皿は、光を吸うような色合い。


「甘さは控えめです。今日は、はっきり見なくていい時間を置いていきます」


『このお店、また来ちゃだめなんですよね』


「ええ。一度きりです」


客は寒天を口に運び、ゆっくり噛む。


『でも、明日お店に立つ時、ちょっと楽に人を見られそうです』


店長は、小さく笑う。


「それで十分です。視界が楽になると、言葉も柔らかくなりますから」


サポーターの男が、扉をそっと開ける。


客は一礼し、外へ出ていく。


店内に残るのは、静かな湯気と、もう使われない席。


「店長、今日も無事に終わりましたね」


「店長、ああ。次はまた、別の“目”を持った人が来る」


火は落とされ、店は静かに幕を閉じる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ