入学式Part2
体育館を後にした私は近くの先生に場所を聞いて急いで、教室に向かいました。
教室では担任の先生らしい人がプリント類を配っています。
入りづらいですね、、
ガラガラ
「本当にすいません。遅れました」
こういうときは謝罪が一番だと感じます。
寝てしまったことは、本当に申し訳ないと思っています
ですが、あけみの電話に出たことに後悔はありません。最後にお礼を言われた瞬間、心が温かくなりましたね。いいように使われているのではないかと言われることはありますが、頼られることはとても嬉しいと思います。単純な女ですよ、ええ
「次からは気をつけてください」
担任は30代くらいのショートカットの女の先生でした
初日から怒鳴られることを回避してほっとしています
優しいですね
私は田中みのりなので、出席番号は24番です
えっーと、あっ見つけました
真ん中に一つ空いてる席を発見しその場所に向かいます
さてさて記念すべき入学初の隣の席はどなたでしょうか?
「始めまして、私の名前は戸川美空です」
とても丁寧な挨拶にもですが、その声にも驚きました
ソプラノです、めっちゃ声高いですね
あと、イントネーション的に標準語に感じました
ここは大阪なので珍しいですね
「こんにちわ美空ちゃん田中みのりです。よろしく」
相手は私の名前を繰り返し微笑みました
可愛いですね、、、なんか撃ち抜かれました
「何の話??愛もまぜて!!」
活発な声に後ろを振り向けば、小柄でありながら大人っぽさも出すギャル系の美人さんな女の子がいました
焼けた肌が健康さを駆り立てて海外受けしそうだなと意識が少し飛びました
「自己紹介しててん、私は田中みのり。」
「私は戸川美空だよ」
「えっ、めっちゃ丁寧やな。愛の名前は多原愛
愛って呼んでな」
人懐っこいなというのが彼女の第一印象です
「よろしく、愛」
「愛ちゃん、よろしくね〜」
なんだか温かい空気が流れた瞬間、
「てかさ!この学校男子少なない??」
「うーん、まぁ英語科だしね」
「え!英語科って男子少ないん?!知らんねんけど」
「えっ!知らんかったん??」
「全然知らんねんけど、ショックすぎる、、」
あららショックを受けている愛の気持ちも分からんでもないです
私のクラスは8組、英語科は40人クラスで8組の男子は7人ほどしかいません
ですが、愛なら学校外でも恋人を探せるでしょう
「まじか、カップリング出来ないじゃん、、」
カップリングとは何でしょうか?、、
なんて野暮なことは言いません、私は分かりますよ
このような発言は中学の同級生、ミチコのおかげで予習済みです
ミチコもあけみと同様クセの強い子で、腐女子という部類の人種に属していました。
あれは忘れもしない中学3年生の冬、クリスマスでしたね
「ごめんくださいー」
ミチコは連絡もなしに家に突撃訪問して来ました
まぁ、それだけならまだ良いんですけど
彼女は岡山くんと佐竹くんはカップルだと思う。という謎の持論を展開して、クリスマス恋のキューピッド作戦というよく分からない提案を私にしてきました
簡単に言えば岡山くんと佐竹くんをイルミネーションに連れ出し二人をいい雰囲気にさせるという作戦らしいです
岡山くんと佐竹くんは同じクラスの同級生で同じ野球部、仲の良さそうに見えますが恋人のようには見えません
それに私は基本、人の恋路に興味はありません
干渉してもいいことはないと思っているからです
ですが、その時のミチコは受験期のストレスか何かで暴走していてとても止められそうにありませんでした
しかし、岡山くんは同じクラスの春山さんと付き合っていると風の噂で聞いたことがあったので彼らの邪魔をしていはいけないと、必死にミチコを止めるという地獄のクリスマスを過ごすはめになりました
その後、岡山くんにその作戦が広まったのかは知りませんがなぜか嫌われました
まぁ、いい思い出です
まさか、愛も腐女子だとは思いませんでした
まぁ、全員が全員ミチコのようなわけではないので安心したいところですが、何かをブツブツ唱えながら考えている彼女の姿にほんの少し不安を抱きました