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いろどり  作者:
2/10

入学式

皆さん、こんにちわ

田中みのりです


桜舞い散る今日、私は入学式を迎えます

ですが、私は今非常に困っています

なぜなら大遅刻をかましてしまったからです

ですが、私にも言い分はあります

私が片道2時間かかる学校に進学したことを覚えていますか

乗り換え前の初手の電車が、20分の遅延をしてしまいました。通勤ラッシュの人々でホームは溢れ返り電車に乗るにも一苦労、結局普通電車に乗り1時間も遅れてしまいました。

私にも同情の余地はあります


幸い、高校の先生方に叱られることなくすんなり門に通していただけました。

ですが、現在入学式の真っ最中。

体育館には保護者の方と新入生で整列されていました。

「あなたは1組だから一番右です」

「分かりました。ありがとうございます」

先生に案内され席に進もうとしましたが、ここで問題が発生しました。

私の席が分からないということです。

生徒たちは3人掛けのイスを1つ分空け2人で座っていました。

私の苗字は田中、明らかに真ん中です。

こんな緊張とした空間に生徒をかき分けて進む行為は明らかに目立ちます。

嫌です、嫌すぎます。

私の希望としては一番後ろにそっと座ることです。

しかし、一番うしろの席は明らかに悪そうな雰囲気を醸し出すクラスメイトAくん。

クラスメイトAくんは3人掛けの席のど真ん中を占領しドカッと座っています。

どうしましょう、しかしこの先入学初日から遅刻したやつと認知されるのは心外です。

腹をくくりましょう

ここで、おどおどするより親しみやすさを演出したほうがいいのではないでしょうか

そこで、私は最大限ギャルを演じました。設定は中学の時のギャルのクラスメイト、あけみです


「おっは〜、まじ申し訳ないんだけど席空けてくんない笑」

「あ?」


失敗しました、もう終わりです。このままでは初日から遅刻して不良にボコられた奴です。

しかし、クラスメイトAくんがそっと場所を開けてくれました。

「ありがとう」

いい人でしたか。疑って申し訳ないですね


そんなこんなをしているうちに校長先生の、話が終わり新入生代表挨拶が始まりました。

「新入生代表の1年A組、吉川 一」

新入生代表挨拶は入試の成績から選ばれるらしいですね

秀才ですね、吉川くん。誰でしょうか、もしかしたら前の席に座るメガネの大人しそうな少年でしょうか

「はい」

凛とした声が聞こえそちらに目を向けると隣のクラスメイトAくんが立ち上がリました

その時の驚きはもう言葉では言い表せません。

皆さんにはAくん、いや吉川くんの見た目を伝えきれていませんでしたが明らかに茶色の髪、ピアスの揺れる耳、首元から光るゴツメのネックレス、そして顔には眉毛がありません。

あっ、いい忘れていましたがこの学校は私服です。

私は前の学校の恨みからなんちゃって制服を着ていますが同じような子が何人もいて安心します

吉川くんの私服自体は意外にもシンプルですけどね。

もしや、高校デビューというものでしょうか

それなら納得出来ます。急に親近感が湧いてきました

吉川くんあなたの健闘を祈ります。


無事吉川くんの挨拶も終え入学式も後半に差しかかったころ、私はここでウトウトしてきました。

私は昨夜、ギャルの元クラスメイトあけみから一本の電話がかかってきました。

内容はあけみの彼氏、元クラスメイトで野球部の山本と別れの危機だそうです

正直、めんどくさいと思ったのも事実です。ですが山本を思い泣き叫ぶあけみの声は痛々しく庇護欲を掻き立てられ助けてあげたいとさえ思いました。

あけみの話を聞き山本に連絡、最終私を挟んだ二人の話合いがおこなわれ二人共泣きながら愛を囁やき仲直りを果たしました。

もう後半私いらなかったですよね、、

ちなみにケンカの原因はあけみが他の男と話すことへの嫉妬だそうです。

あけみからの電話がかかってきたのは夜の12時、電話がきれたのは朝の5時、私が片道2時間かかる学校へ行くためには朝の6時には家を出なければなりません。

そこで、私は徹夜明けでここに来たわけです。

朝の通勤電車で体力を持っていかれた私にはもう無理です。


目を開けるとそこには何人かの先生に取り囲まれていました。

「えっと、、」


「入学式で寝るとはいい度胸やな、」

「具合は大丈夫?」

「とにかく、教室に戻りなさい。ホームルール始まってます。話は放課後職員室によりなさい」


さっと血の気が引くのが分かります。周りには不審な目をして私をみる保護者の人たちや先生でもう泣きたいです


「本当にすいません。放課後職員室に寄らしていただきます」


私は小走りで体育館を後にしました。




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