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アストロ・レールウェイ ―火星姉バカ放漫軌道―  作者: 井二かける
第二章 波乱の火星編 セクション4: ディストピア飯改革
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餅は餅屋


 ブラックホールをイメージしたイカスミ弁当、火星をイメージしたレッドチリ弁当――完全に迷走している。


 宇宙って何だっけ――。


 やはり素人ではこの辺りが限界だ。私もルナも料理が得意というわけではない。二人とも自立のために渋々料理を覚えたという感じである。ルナは外食派だし、私は冷食派である。過去の料理をコピーすることはできても、新しく作るというのはなかなか難しい。


 仕方ない、ここはプロの意見を聞くしかない。


 私は地球に旅立ったばかりのエスプロリスト号に連絡を取り、シェフに取り次いで貰った。


「早速、火星料理の味がお口に合いませんでしたか」


 と、苦笑いするシェフ。


 彼は民間人の乗組員である。あまり機微な話をするのは気が引けたが、どうしようもないので、所々を伏せながら事情を説明する。


「宇宙……ですか。そういう料理を作る場合、普通は、現地の名物食材を使った料理を考えます。でも、あるのは火星の鉄粉とか……ですかね」


 ……大丈夫かなこの人。


「火星では完全栄養藻類は採れるのですが、フードレプリケータの原材料に使用する前提の激マズ食材で、遺伝子も編集されているので、直接食べる用ではないんですよね」

「……では、イメージを膨らませるしかありません。お客様が宇宙にどんなイメージを持っているか、ハッキリとさせます。最初は特定の誰かにターゲットを絞る方が良いでしょう。そこからイメージを膨らませて、料理として表現するんです。料理は色、味、香り、食感、盛り付け、食器、お弁当ならパッケージデザイン等、色々な表現手段があります。例えば、火星を色で表現すると?」

「赤ですね。唐辛子系の食材か、トマト系の食材か……。でも何となくお弁当のメインとして使うには見た目も味も鮮烈すぎて難しいんですよね」

「では、色を使わず、香りで表現するなら?」

「……温泉?」

「いいですね。火星には温泉があるんですね。温泉といえば……?」

「温泉卵?」

「一つ食材の候補ができましたね。もちろん、温泉卵に縛られる必要はありませんが、こういう風にイメージを膨らませることが大切なんですよ」


 なるほど、私達は見た目に縛られ過ぎていたのかもしれない。


「でも、見た目も大切ですよ。それも工夫次第です。そういえば、地球には面白い伝統菓子があるんですよ。参考になるかもしれません。データを送ります」


 個人端末にデータが着信する。私はその画像を見て息を呑んだ。


「……! これは」


 地球にこんなお菓子があったなんて。これは、使えるかもしれない。


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