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スタートライン
翌朝から、特訓が始まった。
ラウンジ車にルナと私の声が響く。
「少尉、安全綱領唱和!」
「はい、准尉!」
「安全の確保は!」
「輸送の生命!」
「規程の遵守は!」
「安全の基礎!」
「執務の厳正は!」
「安全の要件!」
「よろしい」
いつの間にか、私たちに見物客たちの視線が集まっていた。
少し離れた場所で、クレイ中尉が、こそこそとサリー少尉に話しかけている。
「サリー、あれ放っといて良いのか? 准尉が少尉に命令してるぞ」
「ふふっ、仲良さそうでいいじゃないですか」
こうして、私はスタートラインに立ったのだった。
つづく




