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14話-3
ただあても無く…
上へ上へと向かい
気が付けば屋上に居た
その日は満月だった
見上げれば綺麗な月が照らしていた
俺はただ立ち尽くし
その月を見上げていた
もう何が何だかわからない
静かな錯乱とでも言うのか?
俺はただ何も出来ず
救いを求めるかのように月を見ていた
その時、風が吹き
俺は倒れそうになった
(もう…どう…でもいい…
どうでもいいんだ……)
俺は少しずつ前に歩きフェンスにぶつかった
(…そう
…どうでもいい
例え、死んだって……)
俺はフェンスの金網を掴みそのまま握りしめた
そして…
(なら……死んでしまうか…?)
俺はその握った金網を持ったまま
片方の手で上の金網を掴もうとした
……その時だった
「ねぇ、君何してるの?」
振り向くと、俺と同じくらいの…
だけど、とても小柄な女の子が立っていた
『…何だって…いいだろ』
「…せっかくだから教えてよ」
『ヤだよ…て言うか
お前誰だよ?』
「私?
私の名前は霧生神子だよ」