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12話-3
だからか、
この場所には娯楽と言えるものは全くと言って無い
だから、俺は
その目的しか目に見えなかった
家に着くとそのまま部屋に直行しようとした
が、
「…神子」
『…お……父さん』
「ただいまくらい言ったらどうだ?」
『ごめんなさい…』
こう言う時は大人しく謝ればいい
反抗でもしようものなら殴りかかってくる
だが、今日の親父はやけに大人しい…
(何かあったのか…?)
「おー…久しぶりだなシンジ」
『あ、兄貴』
「神子、ちゃんと挨拶しなさい」
『…お久しぶりです』
親父は兄貴の前では大人しい
兄貴……もちろん優海蒼真の事だが、
兄貴は親父の弟の息子
つまりは従兄弟だが、
兄貴は養子なので、
血の繋がりは無い
体面とでも言うのだろうか?
親父はその辺の事を気にして
兄貴や叔父さんの前では猫をかぶる
腹はたつがもう慣れた
『じゃあ、俺は道場
行くんで』
「神…」
「ああ、いってらっしゃいシンジ」
「………」
『はーい』
俺は部屋に入り、
ランドセルを置いて、
胴着を持ってまた外に走り出した




