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11話-4
「えっと…じゃあそこの引き出しの中の果物ナイフ取って」
『ああ…これだね』
僕が果物ナイフを取るとミコは奪うようにナイフを手にした
『あっ…僕が剥くよ?』
「いいの自分でやりたい…
やらせて」
『そう?』
ミコは林檎をナイフで剥き始めた
(あの夢の中でも…同じ様な果物ナイフ持ってたのに…今はもう恐怖を感じ無い……)
僕はミコのその鮮やかとも言える手際を見ていたが…
「痛っ」
この日はどうやら珍しく(?)失敗したらしい
『指を切ったか…バンドエイド…救急箱は?』
「あ、大丈夫だよ」
『大丈夫って…傷口から染みるぞ?』
「大丈夫だって!
ほら、"塞がった"」
僕ははじめ、何の事か分からなかった
だが、彼女の指を見ると傷口は塞がっていた
『…え?』
「拭けば大丈夫」
そう言うとミコは手を洗い、
タオルでその手を拭いた
『いや…ちょっと…
待って、おかしくない?
それ……』
「え?」
『いや…いくらなんでも塞がるの、早過ぎじゃない?』
「ああ…その事…
ナノマシンがやってくれるの」




