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10話-3
『それで…僕がア然としていたら…
野次馬の中からフードを深くかぶった…女の子が突然僕の脇腹を刺したんだ』
「へぇ…痛そうだね」
司堂はまるっきり他人事みたいな感じだったが、
僕は無視して続けた
『…その後、
もう片方の手にもあった刃物でまた刺されて…
刺して抜いて…刺して抜いてを繰り返して
僕はまったく抵抗出来ないまま…殺された』
「…自分が殺される夢、か…
で、君は誰に殺されたかわかったの?」
『……』
僕は本当の事を言うべきか迷ったが、言ってしまう事にした
『…ミコ、だ
霧生神子…』
「……へぇ
…もしかして、君はボクに殺されると思ったから殺される夢を思い出したの?」
『…ああ、そうだよ
くだらない話だろ?
これで満足か?』
「……そうだね
でも、夢の中の出来事を"くだらない"で片付けたらいけないよ」
『…え?』
「ほら、予知夢とか言うよね?」
『…僕は超能力者じゃない』
「例え話だよ
それに、"直感"て案外馬鹿に出来ないよ?」
『直感…ねぇ』
「君がそう感じたんだから、そんな夢を見たのかも知れないだろ?」




