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10話-2
『別に話したところで気が紛れるとは限らないだろ?
それに、くだらない話なんだ
そんな話をわざわざ聞かすってのも…な』
「…さしずめ、悪い夢を見た、とかじゃないの?」
『……ま、まぁ、そうだけど…』
「その夢の内容を話してくれればいいよ」
『……なんか何言っても無駄みたいだな
アンタには……』
「褒め言葉と受け取らせてもらうよ」
『…そうかい』
「じゃあ、話してよ」
『…朝、学校に向かう為に僕は通学路を歩いていたんだ』
「ふむ」
司堂は特に意味もなく相槌をうった
『で、その後春日が曲がり角から来て前のほうに来たんだ』
「春日って、春日美咲ちゃんかな?」
『ああ、そうだ
それで……しばらく距離が開いたまま歩いてたんだけど、
前に信号があって…
その信号が赤だったんで春日は止まった
僕は後から来て追い付いて…春日と並ぶ形になったんだ』
「それで?」
『それで……』
僕は春日が言った言葉も言うべきか悩んだ
『……春日が信号が赤なのに飛び出してトラックにはねられた
多分、自殺だ』
「自殺…ね」