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9話-3
「えー…」
『えー…、じゃないだろちゃんと休まないと…』
「これくらい大丈夫だよ、大袈裟だよ…」
「霧生さん、大袈裟でもなんでもないわ
少し休んでから早退
わかった?」
「はーい…」
「それと桐生…
ええと…同じ読みじゃややこしいわね
桐生シンジ君
あなたは教室に戻りなさい」
『…え?』
「何驚いてるの?
あなたは病気でもなんでも無いし、
授業があるでしょう?
それに、うつるといけないわ」
『あ……はぁ…わかりました』
「あ…シンジ君…
えと…バイバイ」
『あ、うん…』
(そうか…今日はこれでミコに会えない…かな?)
僕は歯切れの悪い返事をして保健室を出た
教室に向かって歩いて行くと
とりあえず、担任に何て言おうか迷った
正直に言えばいいのだろうが、
説明するのが…
『はぁ…面倒臭っ…』
と、思った
…とりあえずそんな事は
その時になって考えようと、
気を紛らわす意図で窓から外の景色を見ると、
灰色がかった雲が
今にも降りそうなぐらい空をおおっていた