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8話-5
「シンジく……」
『く、来るなぁッ!!』
「!!」
『…来ないでくれ…
頼むから……』
「シンジ君…どうして…」
『…どうして?
どうしてかな?
自分でも訳がわからないよ?』
「シンジ君……何か…あったの?」
『……夢を見た』
「夢?」
『…くだらない事さ
ミコが…"俺"を殺す夢を見た…』
「私が…?」
『本当にくだらない…
それで…ミコが"夢の中のミコ"とかぶって…
殺されると思ってしまうんだ、頭が…』
「……」
ミコは歩み寄って来た
『だ、駄目だ
来ちゃぁ…君が殺すと思って…』
「…大丈夫だから」
僕の左手は拒絶する様にミコを突き飛ばした
『ッ……』
「…シンジ君」
『ミコ…』
「…私なら…大丈夫だから…」
『けど…』
「…私は…シンジ君を殺したりなんかしないから」
ミコの両手は僕の背中まで延び
僕を引き寄せて、
僕を抱きしめた
『…ミ……コ……』
「シンジ君…大丈夫
あなたは一人じゃない…」
僕はその時、その呪縛から解き放たれた様に感じた
その時、まるでミコは聖女の様に見えた
第8話 貴方は一人じゃない




