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8話-2
-「あ、もしもし
シンジ君?」-
『…ミコか?
ああ…そうだよ』
僕は出来る限り取り繕ったが
下手な芝居だと思った
-「うん、ミコだよ
今日も元気無いね?」-
『あ…いや…そんな事……』
-「あるよ!絶対!
だって声が疲れきってるもん!」-
『…ミコがそう言うなら…
…そうかもね…』
-「うーん…今日は一緒に遊びたかったんだけど…
…あ!お昼食べた?」-
『いや…食べてない…
食欲無いし…』
-「だったら、私が作ろうか?」-
『え?!い…いいよ、そんな…』
-「でも、シンジ君
前にお母さん居ないって言ってたよね?
ちゃんとしたモノ食べてないんじゃないの?」-
『そ、それは…』
これまでの生活の事を思い出していた
兄貴か僕が当番の日に飯を作る
マズイ訳じゃない
ただ、美味いとも言えない
彩りの無い…
味気無い食卓…
『………』
-「シンジ君?」-
『…わかった
任せるよ』
-「うん!
じゃあ、えっと…」-
『…ん?』
「行きかた教えて」
『……そういえばまだ教えてなかったな…』




