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5話-4
「…お願いだから止めて…」
-ツー…-
彼女の頬は涙で濡れていた
その事に気付いた瞬間
それまで高揚していた気持ちが一気に冷めていった
そして…あの時と重なった…
-「女の子泣かせるなんてな」-
-「最低だよ」-
-『……?!』-
-(な…何だよ…"俺"が全部悪いってのかよ…
お前らの見てないところでコイツは…"俺"を…)-
-「神経疑うよ」-
-「…やり過ぎだな」-
-(やり過ぎだって…?!
フザケんな!
コイツはこれ以上の事を"俺"にやったんだ!!
知らないからって…何だよその言い草!)-
-「……う…うう…うぇぇ…」-
-『…春日美咲』-
-「…ひっく…ひっく…」-
-『…"俺"は…許さないからな…!!』-
-バタンッ-
-「シンジっ!?」-
-「ひっく…うぇぇ…」-
『……もう、いい
退け!!』
「…シン……ジ」
-ドンッ-
僕は無理矢理
春日を突き飛ばした
『……何も変わっちゃいないよ
お前は…!!
……反吐が出る……!!』
そう言って僕は教室を飛び出した