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4話-6
すでに辺りは暗くなっていた
夜桜が綺麗に咲いていた
僕らの沈黙…正しくは沈黙ではないかもしれないけど
続いていた
空になった缶のタブを指先でいじりながら
ミコと並んで座っていた
話しをしている訳じゃない
かと言って意識してない訳じゃない
ただ同じ空間に居て
同じ物を見て感じている
少し歯痒くもあるけど
なんだか心地良い時間
いつの間にか僕らは手を握っていた…
しかし、
その空間は突然破られた
「お邪魔して悪いわね」
『「!」』
それは、僕達と同じくらいの女…
見覚えは…なかった
「霧生神子さんに来ていただきたいのだけど」
「私に?」
「そう、貴女に」
「あの…あなたは誰ですか?」
「…それは言えない」
僕はミコを庇う様に立ち上がった
ミコもつられて立ち上がり、
つないでいた僕の手を両手で握った
彼女も直感で感じているのだろう
この女の…"敵意"に
『言えないってどういう事だよ?』
「…アンタには関係無い事だよ」
『関係無い?
そんな訳あるかよ
ここに居合わせたからには大有りだ!』