33話-5
「…し…シンジ君
何を……!」
『…だったら…もういいやって
思ってね…
ここから飛び降りるんだ』
「なッ…だ、駄目だよ!そんな事…!!」
『…どうして?』
「え…そ、それは…」
『…それに…君は俺とは友人でも恋人でも大切な人でも無いんだろ?
だったら…君の指図は受けないよ』
「それは…けど…
そ、そんなの関係無いんだから!」
『……そうは…いかない…な…』
-タンッ-
俺はネットを蹴った
落下していく身体…
一瞬、空を目に焼き付けて…
俺は瞳を閉じた
-ガシッグイッ-
…腕でまるで吊されてるかのような感覚
…天気はいい癖に
何故か水滴が上から落ちて来た
雫が俺の頬をつたい落ちると俺は目を開け
上を向いた
『…傍に居ないんじゃなかったのか…?』
「……シンジ…君の…バカァ…ぁあ…
こんな事…しちゃ…駄目なんだから…」
ミコは泣いていた
そして、背中には鋼鉄の翼があった
ミコは飛んでいる
俺はミコに助けられたのか…
『…おいおい…同じ事を君はやったんだぞ?』
「…う…それは…」
『…それより…傍に居ないんじゃなかったのか?』
「…いいよ!!
こんな事するなら傍に居る!」
『…フッ
…クックック…』
「シンジ君?
ま、まさか…!!」
『言ったな…ついに…
…俺の勝ちだな!』
「わかっててやったんだ…
呆れた…」
『あ、いまさら否定したって駄目だからな
ちゃんと、携帯に録音しておいた』
「うぅ……」
『…それとも、嫌か?』
「え、そ、そんな事…」
ミコがたじろいでる隙に俺はよじ登り、
ミコの唇を奪った
ミコは顔を真っ赤にしたまま
俺達は宙に浮いていた
ミコのその姿は翼でまるで天使の様だった
ミコがいつまでたっても顔が真っ赤なままなので
俺はふいに笑い出した
すると、つられてミコも笑いだした
なんとなく気付いた
結局のところ…
俺にとってミコは
俺を救ってくれた天使なのだと
最終話 ある一つの結末〜ボクの天使〜