32話-7
『…っ…!!』
「えと…あの……お…お姉ちゃん…?」
「ミコ…この子は…貴女の友達よ」
「あ…そう…なんですか?」
「…うん」
そう言うと美羽は気まずそうに部屋を出て行った
「…ご、ごめんなさい
私…記憶…無くしちゃって…
お姉ちゃんでさえ…まともにわからなくて…」
『……一つ…聞いていいかな?』
「なんですか?」
『……君は……何なんだ?』
「え?」
『君は自分の事を…何だと認識しているんだ?』
「わ…私は……
……理由はよくわかりませんけど…
どうやら、普通の人間じゃないみたいですね…」
彼女はしれっとそんな言葉を発した
(…!?)
「私…気付いた時には血まみれでグラウンドに倒れてて…
きっと高い場所から落ちたんだと直感でわかりました
だから、私は普通の人間じゃありません」
『なら…何なんだ?』
「わかりません
…けど…
…私は私です
それだけは確かです
…答えになって…」
-ガバッ-
俺はミコを抱きしめていた
「ひゃっ?!」
『……約束してくれ』
「え……?」
『その言葉…忘れないって……
俺は……君が忘れていてもいいから…
約束…守るから……』
「……どうしてか、わからないんですが…
とても…嬉しい…です
……わかりました」
…これは始まりに過ぎない
あの出来事は
三度、俺達をふりだしに戻したに過ぎない
けど、決して無意味ではなかったと思う
こんなにも、この娘を愛おしく思えるのだから
始まりは嘘でも
この想いは本物なのだから……
第32話 イビツなアイのカタチ