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32話-6
俺は無我夢中で走った
そして、気がつけば乱れた息のまま優海美羽とミコの部屋の前に居た
あの時とは違う緊張の中、チャイムを押す
しばしの沈黙の後
ドアが開く
「あ…君は…シンジ君…」
『…ミコは…居ますか…?』
「!!」
美羽は言葉に詰まった
しかし、俺はそれで理解した
『…入っていいですか?』
「…え…あ…あの…」
俺は返事が来る前に上がり込んだ
そして、リビングまで行き
辺りを見渡し
ミコの部屋に向かった
-ガラッ-
その部屋には
一人の少女がいた
身体中が包帯に巻かれていて
どこか虚空を見詰めていた
だが、その少女は間違いなく
ミコだった
『……ミ……コ……!!』
少女はこちらを向くと何か言いたげな表情を浮かべた
しかし、困惑した表情に変わり彼女の発した言葉は
「…貴方は…誰ですか…?」
と、いったものだった
『…!!』
背後から苦しげな表情で美羽が歩いてきた
「…ミコは…あれぐらいじゃ死なない
死なないけど…彼女は…彼女なりの方法で彼女を殺した
彼女は自分の掌で胸の…
落下の激突で頭の…
記憶-Memory-を…破壊…
いえ、殺したの」