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32話-2
…………
………
……
…
…
『……?』
「…ぐぁ…ッ…あぁ…」
-バタッ-
(これは…どういう事だ?
何で俺が生きていて
奴が倒れた?)
その答えはすぐにわかった
「大丈夫か!シンジ!」
『…兄貴』
そう、兄貴が奴が撃つ前に
奴を撃ったんだ
「こ、これは…」
兄貴はこの屋上の惨状を見て
言葉が詰まったようだ
「…霧生神子は?
あの娘はどうしたんだ?!」
『………そんな娘…
いなかったんだって、さ…
ずっと前に…死んでたんだって…』
「シンジ…お前…
……とりあえずここは危険だ
あの娘が居ないならお前だけでも連れて、脱出しないと!」
-ぐいっ-
兄貴が俺の腕を引っ張る
しかし、俺は立ち上がろうとしない
「…シンジ?」
『…いいんだ…もう…どうだって……』
「何言って…」
『…あの子がしんだ頃から…
死ぬ気がなかっただけで…
生きる気もなかったんだ…
だから…もう…俺なんて…
どうだっていい…
皆…皆…死んだんだ…
俺に関わった女の子ばかり…
霧生神子も…
春日美咲も…
…もう一人の…
霧生神子も…』