32話-1
俺はただその場にしゃがみ込んで
自分の虚無感と無力感にただ飲み込まれていた
(…ミコ…は
…どうし…て…死んだ?
死んだ?
ミコが?
何故?
約束は?
神子じゃないから?
じゃあ?
すでにその約束は…
ずっと前のあの日から
破られていた…?
じゃあ……)
俺は視線を反らした
すると俺の瞳に一丁の拳銃が映った
ここに居た…そして、死んだ…アンドロイドの物だろう
『……ああ……そういう…事、か…』
俺は手を伸ばし
その拳銃を掴んだ
使い方がわからなかったが
テレビで知った知識を元に引き金を引いた
爆音とともに床に焦げ付きが出来た
『…約束が…破られてたなら…
もう…どうだっていいんだ』
俺は試し撃ちを終えた拳銃を自分の左耳の上に持っていった
-カチン-
『そう…どうだって…』
-バンッ-
『…!?』
俺が引き金を引く前に銃声が起こった
後ろを振り向くと
俺が窓から蹴り落としたあの男だった
流石に、戦闘用アンドロイドだ
あの高さから落ちて生きてるなんて…
「貴様に勝手に死なれては困る…」
『……』
俺の持ってる拳銃は弾丸が食い込み使用不可能だ
「私にここまでの屈辱を与えたのだ…
私が処刑する…!!」
…どうだって、よかった
結果は変わらない
ただ、引き金を引くのが奴か俺かの違い
俺は瞳を閉じた
恐怖は感じなかった
それ以前に、自分の命でさえ無関心になっていたのだった…
「…死ね」
-バンッ-