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31話-6
その普段の彼女より大人びたとも取れる口調には自嘲のじみた気持ちが溢れていた
「……さようなら、ね
シンジ君…」
『な!?
何、言ってるんだ!?』
「私は…こんなに沢山の…命を…殺したと言う罪を背負って生きられる程…
強くなんて無いから…」
『ば…!馬鹿な事はやめろ!
ミコ…言ったじゃないか!
死んだら哀しむって…
あの時の約束はどうなったんだよ!』
「………」
ミコはフッと笑った
「ごめんね、シンジ君
私は…"霧生神子じゃない"から」
その時のミコの笑顔は…霧生神子の笑顔にしか見えなかった
ミコは屋上の端に立つと
その手で自らの胸を貫いた
俺はミコを止め様と走り出した
だが、何故だろう
間に合う気がしない
『ミィイイイ…』
-ドシャッ-
『コォオオオ…』
その乾いたような…潰れる音が響き渡ると
俺はその場に座り込んだ
『…何故だよ…どうして…だよ!
こんな事になるなら…
こんな事になるなら…!
何で今更、君に出会ったんだよ……!
………教えてくれよ…
…ミコ』
第31話 ミコ