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30話-3
…廊下には誰も居ない
(なら…)
僕はそのまま飛び出し
屋上に向かった
階段を一思いに駆け登った
そして、最上階から屋上への階段を昇ろうとした時
不意に僕は僕自身の計算ミスに気付いた
(…待てよ
アイツが居ないって事は…屋上に向かった事だろ?
でも…僕の目的地も屋上だから…最終的には鉢合わせ…)
その時だった
「危ない!」
『え…』
-グイッ-
-バシュンッ-
僕は何が起こったのかわからなかった
ただ、次の瞬間
目に飛び込んだ映像は
美咲の顔だった
「…怪我無い…シンジ?」
『え……あ…』
僕が先程まで居た場所には弾痕があった
(……いや…それも…違う……?
アイツは…屋上に"向かった"んじゃない…
屋上で"待ち伏せ"ていたんだ…)
僕は美咲が階段の死角に引き寄せてくれた事で難を逃れた
「危なかった…手摺りの隙間から…拳銃が見えて…すぐに飛び出してなきゃ…シンジ、死んでたかも…」
『ああ…ありがとう…美咲…
…って、何でここに…!?』
「…話は後…どうやらこのまま見逃してはくれないみたい」
振り向くと奴が居た