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30話-1
とっさの判断だった
男の指の動き…
それを見て
直感で殺されると感じた
だから、逃げ道がなかった僕は
逃げ道を作った
隣の教室の窓をレーザーナイフを前に突き出し突き破った
ガラスが割れる音と同時に僕は教室に突っ込んだ
割れたガラスの飛び散った床に僕はとっさに左腕で身体を庇いながら叩きつけられた
「なんだと!?
チッ!」
男は僕に向けて引き金を引いた
だが、机と椅子が盾になりなんとかやり過ごした
僕は机の間を通りぬけながら
レーザーナイフでベランダへの扉を壊してベランダに出た
(…ハァ…ハァ…なんとか…このまま…あの男をやり過ごせれば…)
ベランダ側の窓際にはカーテンがかかっている
廊下に居る内にはあの男は僕の場所は把握出来ない
(僕の目的はあの男を倒す事じゃない…
ミコに…ミコに会う事だ…)
僕はベランダの端まで歩いた
左腕を見ると
さっきのガラスの破片で切ったらしく
自分の血で制服が真っ赤になっていた




