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29話-5
僕の前に立ちはだかった男は
昨日、兄貴にあそこまでやられたのに
全くと言って外傷の痕が見られなかった
『く……』
「…ふん…このタイミングで貴様と出会うとはな…だが…」
『ッ!』
僕はとっさに廊下まで走った
爆音のあと
弾が窓に3発程当たり
割れた
(…なんだよ…今の殺気…
人を殺す事に躊躇が無い…
そんな…人間……
…人間?
アイツは…人間なのか?
昨日…あれだけやられて…)
その時、奴の気配を感じた
(こちらに来る…!
どうする…逃げる…?
駄目だ…逃げ道が…この長い廊下を突っ切るしかない…
飛び道具持ちの相手には分が悪い…
…なら)
奴は歩きながら僕のすぐ手前の角を曲がり僕のいる方を向いた
それと同時に奴に向けて僕は拳を突き出す
奴はニヤリと笑って蹴りを入れようとした
だが、僕は直前でバックステップを入れ
奴の蹴りは空を切った
僕は奴が無防備になったのを見て
そのまま飛び後ろ回し蹴りを奴の顔面にぶち込んでやった