26話-9
「…私はたまたまその日は用事があって施設にいなかった
だから…絆ちゃんがあなたに殺されたのは後から聞いた
でも、あなたの行方もわからかった
だから…てっきり死んだのだとばかり思ってた」
『…俺はその後
親父に拾われて…
親父…桐生真樹-キリュウマサキ-の養子になった
お前はどうなんだ?』
「…話さないといけない?」
『…"あの子"が関わってくるんだろ?』
「……私は…
あの後、施設に戻って
みんなの死を知らされたの
だから、あなたも死んだとばかり思ってた…って言うのはさっき話したね
だから…"実験体"であるみんながいなくなった事、
研究員のほとんども死んだ事、
あの事件の事で研究資金が凍結された事から施設は事実上無能力化したの
生き残った研究員は他の研究所に配属されたりして…
私は…ただの…
当時は14歳だったから普通とは言えないけど医者として過ごした…」
『…親父さんは?』
「……事件の時に死んだよ」
『………』
心が唯一身元がはっきりしていたのは
親父さんが研究員だったからだ
だが、その親父さんも死んだと言う事は心は14歳で自立せざるをえなかった……
妹を養う必要もあった
…思ったより波瀾万丈な人生なのかもな…
第26話 堕ちた天使