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26話-5
「お…兄ちゃん…が
やったの……?」
『………ああ
絆…正気に…?』
「…う……ん
だけど……もう……」
『そ……うか……』
俺は必死に自分を取り繕った
本当はどうにかなりそうだったのに
「…お兄ちゃん…
私ね……言いたい事あったの……」
『え……?』
「私……
嘘…ついた…」
『…ウ……ソ……?』
「うん…
本当は…私……お兄ちゃんの…事…
兄妹と思って……なかった……」
『え……』
「私は……本当は……」
『!』
絆は首を持ち上げ
俺の首を抱くようにし
俺の唇に自分の唇をつけた
そして、しばらくして首を下ろした
「…本当は……好きだったの……男の子と…して…」
『!!!?!!』
俺は予想だにしなかった出来事に何がなんだかわからなくなった
「お兄ちゃん……」
『…き…絆ッ!?』
「迷惑かけてごめんね」
『え…』
「…殺してくれて…ありがとう……」
『絆ァッ!!』
絆の瞳の色が徐々に虚ろになっていき
やがて、それは深い闇を持った
彼女は……
絆は……
妹は……
俺を好いてくれた女の子は…
そう……
たった今…
死んだのだ…