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2話-5
…屋上
「…ねぇ、さっきから黙ってどうしたの?」
『あ…いや…』
(…僕が知るキリュウミコはあの一人だけ…
目の前のこの娘は…あの子に確かに似ているし、僕の事を知っている…
…でも、
あの時、確かに彼女は亡くなった…
実際に確かめた訳じゃないが、あの子の姉が言っていた…
…わざわざそんな嘘を姉がついたとか?
そんな事してなんになる…
なら…この娘はいったい…)
「…まだ、思い出せないの?」
『えっと……』
「小学生の時、病院で会ったでしょ?
屋上で!」
『!!』
「それで…それからも何度も会って遊んだし…」
『あ…ああ…思い出し…たよ…』
「本当に?」
『いや…ただ…信じられなかっ…たんだよ…
そんな偶然あるのかって…』
「なぁんだ、そっか」
『ちゃんと覚えてるよ、ミコ…』
「…シンジ君!」
-ガバッ-
『!!
うわっ…ちょっ…いきなり抱き着くな!』
「あ、ゴメン
ちょっといつもの癖って言うか…」
『そ、そう……か…』
(………本当に
…そんな偶然あるのか?)
第2話 疑心