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24話-3
研究員が立ち去った後
俺は心に聞いた
『なぁ…心…
絆は一体どんな事されてるんだ?』
「………この子は…」
心が口ごもる
心は確かに俺達と同じ…実験体だった
でも、彼女は研究員共と同じ立場でもある
『…俺はお前を責めたりしない…
お前は…この場所に残ってくれたから…』
「私は……そうするしか生き方を知らなかった……確かに蒼真達に負い目とかそういうのを感じてたよ…
けど、結局は……自分のため…」
『だとしても…俺達の仲間には違わないんだろ?』
「………
……うん」
心は俯いていた
そして、しばらくして話し出した
「絆ちゃんは…ナノマシンの実験体なの」
『ナノマシン?』
「その名の通りナノサイズの機械…
大体は医療用に使われる」
『医療用…か
なら…』
「…でもね
だからって人体実験が無い訳じゃない」
『っ!』
「ナノマシンは使いかた次第で細菌兵器みたいな事だって出来る」
『じゃ、じゃあ…』
「私は担当の一人だから……出来る限りの事はしてる…
…けど、私一人の力じゃどうにもならない事だってある……」