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24話-1
『…ただいま、絆』
「あ!お帰りお兄ちゃん」
冷たい…まるで牢獄のような…飾り気の無い部屋…
二つのベッドを除いて…あとは真っ白なだけの冷たい部屋…
気が狂いそうな…そんな部屋が…
俺達、兄妹の唯一の居場所だった
後は施設の実験場や…訓練場
俺達の世界の…ほとんどは
この施設の中にしかなかった
『絆…今日は大丈夫だったか?
研究員共に変な事されなかったか?』
「…うん!
大丈夫だよ!」
『…そうか』
嘘だとすぐにわかった
俺に心配かけまいと隠してるんだ…
そんな優しい子に…
と、思うと怒りを込み上げてくる
だけど、俺はどうすればいいのかを知らなかったから
その怒りを腹の中に溜めるしか方法を知らなかった
「…お兄ちゃんはどうだった?」
『いつも通りだよ』
「また訓練?」
『ああ…』
俺は兵士ではなく兵器と見られていた
体の中に埋め込まれた装置で皮膚が透明になって姿を消せる…
そして、それを利用して人を殺す為の訓練
何度、教官を殺してやろうかと思っただろう…?
だが、
そんな事をしても、何かが変わる訳じゃないって知っていた