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She≒He≒She  作者: 結城コウ
127/188

24話-1

『…ただいま、絆』


「あ!お帰りお兄ちゃん」


冷たい…まるで牢獄のような…飾り気の無い部屋…


二つのベッドを除いて…あとは真っ白なだけの冷たい部屋…


気が狂いそうな…そんな部屋が…


俺達、兄妹の唯一の居場所だった


後は施設の実験場や…訓練場


俺達の世界の…ほとんどは


この施設の中にしかなかった


『絆…今日は大丈夫だったか?

研究員共に変な事されなかったか?』


「…うん!

大丈夫だよ!」


『…そうか』


嘘だとすぐにわかった


俺に心配かけまいと隠してるんだ…


そんな優しい子に…


と、思うと怒りを込み上げてくる


だけど、俺はどうすればいいのかを知らなかったから


その怒りを腹の中に溜めるしか方法を知らなかった


「…お兄ちゃんはどうだった?」


『いつも通りだよ』


「また訓練?」


『ああ…』


俺は兵士ではなく兵器と見られていた


体の中に埋め込まれた装置で皮膚が透明になって姿を消せる…


そして、それを利用して人を殺す為の訓練


何度、教官を殺してやろうかと思っただろう…?


だが、


そんな事をしても、何かが変わる訳じゃないって知っていた

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