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23話-3
…10年前
俺達にまともな名前なんてなかった
心を除いて
だから、俺達の名前は
自分達で勝手につけただけだ
俺の名前…優海 蒼真って言うのも…
ただ、俺が最初に見たこの"施設"以外の景色が
波が穏やかで透き通った蒼色をしていた海だったからだ
俺達が文字を知っていたのは
心が教えてくれたから
俺達の中で唯一身元がはっきりしていて
明確な成功体…霧生 心
彼女は生まれてくる前に遺伝子をいじって
知能の高い子供を産ますと言う実験体だった
そして、その実験は成功
心は弱冠七歳でこの施設の研究員共と肩を並べる実力になっていた
そんな奇跡的な例外である彼女を除き
俺達…他の子供ははっきりしていない
毎日の様に実験体にされ…
身体の中に訳のわからないモノを組み込まれた
そして、どうやら俺には肉眼でもレーダーでも発見出来ない超高等迷彩システム
BLIND-SYSTEMを体の中に組み込まれた
…そう、俺は…俺達は…
サイボーグだった