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20話-3
男は角を曲がった
しかし、シンジの姿は見えない
(……隠れたか?)
少し警戒しながらそのまま男は直進していった
僕は息を殺してその時を待った
男の足跡がゆっくりになるのを感じた
(どうやら、僕が居ない事を警戒してるんだな…)
僕は確信していた
あの男…確実に僕より強い…
…自分より強い相手に勝つ方法…
それは…
奇襲
男は最初の曲がり角に注意を払った
もし、シンジが奇襲を狙っているなら
曲がり角を利用するはずだからだ
男はそのまま進んだ
その時だった
(1テンポ早い!)
本来ならその身が曝されてから行動に移るモノだ
しかし、シンジは男が身を曝すと"同時に"行動に出ていた
シンジが低空姿勢から男の鼻を狙って拳を繰り出した
だが、
-パシッ-
男は即座に反応して受け止めた
『!!』
「やるな、だが…相手が悪かったな!」
男は無理矢理シンジを引っ張り、
態勢を崩したところに中段蹴りを放った
鈍い音と共にシンジは吹っ飛び壁に叩きつけられた
 




