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20話-2
ミコが走りだしてからも男は落ち着いていた
僕は構えていた
「…貴様は…私とやり合う気でいるのか?」
『じゃなきゃ、何だって言うんだ?』
「ふん…なら、やって見るがいい」
『なら…受けろ!!』
「……ッ!!」
『…逃走』
僕はミコが走ったほうに走りだした
「なっ!?待て!!」
待てって言われて誰が待つか!
僕は全力で走っていた
だが、それ以上に相手は速い
このままでは追い付かれるのは時間の問題だ…
「……くそ、私とした事が…ハッタリに引っ掛かるなどと……
…だが、あの気迫は…」
僕は角を曲がった
ミコがどこに逃げたがわからないが
僕の目的はミコを逃がす事だ
僕に注意を引き付けれれば
それでいい
僕は曲がった道にまた曲がり角を見付け、
男が来る前にそこに身を隠した
『はぁ…はぁ…』
(…本気でやるしか無いな……)
男はシンジを追い掛けながら考えていた
(…霧生神子は目的の方向へ向かった…
なら、私の役目はそれでいい…
…なら、あの少年を追うメリットは…
…霧生神子を捕まえた後である…
なら、あの少年も捕まえるべきだな…)