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20話-1
「…こんばんは」
男は僕が察知した事に気付き
観念した様な口調で挨拶をした
だが、顔は何故か微笑さえ浮かべていた
『………』
「…あ、あの…どちら様ですか?」
「いきなりで申し訳ないが…霧生神子さん、だな?」
「えっ…は、はい…」
-ドクン-
(…ッ?!)
僕はその時
変な感覚が脳を刺激していた
「私と共に来ていただきたいのだが…」
「え…?」
(-------!!)
その時、僕は思い出した
一ヶ月…これと同じ事があった事を
そして、その記憶が欠落している事を……
『ミコ!逃げろ!!』
僕はあの時の様にミコに叫んだ
「え……あ!」
ミコは状況を把握出来ていなかったみたいだが、
僕の言葉通りに走り出した
…自分でもよくわからなかった
根拠は…自分自身の直感
男の身のこなしは
一ヶ月前の女と同じく常人の"それ"ではなかった
見知らぬ…しかも、そんな身のこなしをした怪しい奴に…
ミコの身を預けるなんて出来なかった




