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19話-5
夜の路地
街頭の頼りない明かりだけを頼りに僕らは目的の病院を目指していた
すると、突然ミコが
「……あ!」
『どうした?』
「携帯、置いて来ちゃった…」
『…まぁ、そんなに遠く無い距離なんだろ?
別に大丈夫なんじゃない?』
「お姉ちゃんが何かあった時のために持ってなさいって言ってたんだけど……
ま、いっか
シンジ君が居るし」
『ははっ嬉しい事言ってくれるなぁ』
確かに嬉しかった
ミコに頼りにされるのは…
…二人の後方約十メートル
一人の男が携帯…
あまりにも飾り気の無い実用重視のかえって不自然な携帯で喋っていた
「私だ
ついに見つけた
間違い無い
この干渉波…間違いなく…"彼女"だ
…私が…誘導してそちらに向かわす
後は…手筈通りにな?」
男はミコを見つめて言った
「いい返事だ
……これより接触する」
そういって男は二人に近寄って行った
シンジは不自然な気配を後ろから感じていた
あまりにも露骨に…気配を感じさせまいとする気配を…
シンジは堪らず後ろを振り返った
第19話 本当の自分




