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19話-3
僕はミコが頭を撫でる事がなんだか恥ずかしくて
あえて不機嫌そうな顔を作りながら思った
(…本当は演じる事なんか意味がなかったのかもしれない
…この娘の前では
何か魔法でも使えるんだろうか…?
素直な気持ちでいられるなんて…
この娘自身が…無垢な…
そんな感じが…
僕の心にも影響を…?
…きっと
どんなに冷酷な仮面をかぶっても
ミコはすぐに割ってしまうんだろうな……)
「……あ、もうこんな時間…」
『ん?』
ミコが見たほうを見ると時計は午後8時40分台をさしていた
「シンジ君、お家帰らなくて大丈夫なの?」
『ああ…別に…』
僕と兄貴との二人暮らしだから…
門限と言うモノは初めから存在しない
『…あ、そろそろ帰れって言う?』
「ち、違うよ!
ただ、大丈夫かなぁー?って言う」
ミコが大慌てで弁護する
どうやらさっきまでミコのペースに巻き込まれたが、やっと一本取れたみたいだ
『…ふ
………アレ?そういえばお姉さんは?』
「え?ああ、お姉ちゃんは私の熱が下がってからすぐに出掛けてったよ
『もう大丈夫だから』って」




