第七話 勢力図
遅くなってすみません。
「二人とも落ち着こうよ」
と心のなかで言う南と俺、昌と神崎を笑いながら観察する立川、すぐ寝てしまっ
た笠原……。とっくに俺達二年以外は帰った。ヤクザもどき昌と冷静沈着巨人神
崎の対決は2時間前にさかのぼる。
定例の委員会を放課後に行った。石丸委員長から
「今日は先生がいらっしゃらないので作り始められませんが、何の紙芝居をする
のかを学年ごとに決めましょう。今日は終わったらその学年から解散して下さい
」
対決いや話し合いが始まろうとしていた。
昌から有無言わさぬ口調で、
「やるなら桃太郎でしょ」
立ち上がる神崎真顔で、
「何を言っている、三匹のコブタしかないだろう」
晶も立ち上がる堪忍袋膨張開始、
「日本人でしょ、あんたには和の心がないの?」
神崎すかさず返す、
「和の心など関係ない。良い作品を発表するのが当然だろ」
とみんなの意見も聞かぬまま二択になってしまった。どっちも意味がわからん。
俺達の紙芝居が決まらないので残っていた石丸さんも納豆の糸くらい委員会の時
間が長引いていたので我慢出来ず、
「二人とも少し落ち着こう」
と言った。二人の顔が石丸さんのほうへゆっくり向く、「邪魔だ」と目は語って
いた。委員長はすぐに逃……帰った。その後俺と南で止めようと近ずいても二人
に睨まれる。笠原は寝て、立川は楽しんでいる。
そして今に至る、全然終わる様子はない。俺達三人は黙ってなり行きを見ていな
ければならない。それは暗黙の了解だった。そのはずだった。立川は小さい声で
「面白いなぁーー。」
不謹慎な一言に立川はしまったという顔した、
「黙ってろ」
堪忍袋爆発、昌は立川を睨みつけてドスのきいた声で言いながらの拳固。立川は
バタッと音をたてて動かなくなってしまった。意識はないだろう、俺も何度も経
験がある。俺は南とアイコンタクトして南に立川は任せて俺は腹をくくり止める
ことにしたーー。
「あれ……まだしてたの?」
その声は寝ぼけていた。その場がほのぼのした空気になる、いつのまにか笠原が
起きていたのだ。俺がいや他の人でもこんなこと言えば少なくとも昌は怒るだろ
う。さらに笠原は
「そろそろじゃんけんで決めちゃえば?」
俺と南が言いたくても言えないことを、簡単に言った。




