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第四話 変化

彼女とふたりきり


本の整理を黙々と二人は作業をしていた。こっちは緊張して話せないし、彼女は

どうなんだろう。俺に関心がないのだろうか・・・。

「あの・・・沖田君。」

「何に。」

不意をつかれて声が少し上ずった。

「友達になってくれる?」彼女は少し頬を赤らて不安げに言った。どう反応すれ

ば良いか困った。沈黙の図書室。

彼女自身も困惑したように、

「何となくなんだけど、沖田君とは、自然に友達になれないような感じというか

気がして・・・。」

的中、大当り。でも聞く、

「なっなんで。」

面と向かって話すと緊張してしまい、声が裏返った。

「それだよ、なんかなんだろう・・・緊張しているみたい。」

またまた的中。

「そっそうかなぁ。」

「何で緊張してるの?気楽に肩の力抜けばいいのに。もしかして私のこと・・・

彼女は俺の考えがすべてわかるのか。

「嫌いでしょ。」

「えっ何どういうこと?」

「ごめんね。いつも寝てるの起こしてもらって、うんざりだよね。」

それを聞いてつい笑ってしまった、

「別に気にしてないよ。」

「本当?」

「本当だよ。」

それから本などの彼女と話しをしていると、緊張が嘘のようになくなっていった

。彼女のゆっくりとしたテンポの話し方が、心をほぐす。あの緊張は何だったん

だろう。そしていつの間にか本の整理が終わっていた。

「時間大丈夫?もしよかったらもう少し話さない?」彼女が言った、時間はまだ

・・・、

「ごめん、用があったんだ。また今度ゆっくり。」

「そっか、じゃあまた来週。」

「笠原さん、今日から友達だから。」

彼女はうれしそうに頷いた。くそーもっと話したかったな。今日が仕事じゃなけ

ればなぁ。


走って帰ったが10分の遅刻。急いで厨房に入る。

「何していた。」

まるでやくざの声の父親。

「学校で用事がありまして。すみません。」

敬語の僕。

「何をしている、早く支度しろ!」

言う通りにする。店が終わってからの父親からの説教を考えると憂鬱になる。し

かし今は仕事に集中せねば。

説明が遅れたが、俺の家族は家の近くに店を作り、定食屋をしている。よく小さ

い頃から手伝いさせられていた。当然の如く、本格的に中学校から仕事すること

になり、父親から、

「これからは給料を払ってやる、その変わり・・・しっかりやれ。」

その時はただお金を貰えることに浮かれていたんだ。仕事に遅れた時は晩飯抜き

、ミスすれば一時間は説教をされた。そのおかげか、しっかり一年間したので、

一通りのことはできるようになった。最初のミスしないようにを意識して仕事し

ていた頃が懐かしい。

10時過ぎになり客足も少なくなってきた、

「片付けして終わっていいぞ、そしたら俺の部屋で待ってろ。」

「・・・はい。」

今日の説教は、晩飯抜きで1時間20分だった。こうして長い一日が終わる。月

曜日来ないかなぁ。早くあなたに会いたい。



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