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第二話ムチとアメ

金曜の放課後、委員会がある。

俺の通う中学は一年前に、校長の独断で委員会の活性化に力を入れはじめた。放

課後の一時間を委員会活動をするようにしたのだ。当然部活の顧問の先生からな

どの反発があり、現在は毎週金曜日のみの活動となり落ち着いている。勘違い校

長のおかげで他校より委員会活動は活発である。特に今日から俺が所属する図書

委員会は、別名「図書部」と言われてるほど活動が多いらしい。正直めんどくさ

い。一人で歩いていると、

「ねぇ、この廊下歩いているってことは・・・図書委員会?」

「そうだよ。」

「同じ委員会だから一緒に行かない?」

「別にいいけど・・・。」

今、何が起きたのかわからなかった。

とにかく頭の中を整理しようと努力した。

落ち着け、同じ委員会になっただけだ。

「昌、また僕をこき使うきかよ」

「私にそんな言い方していいのかな」

その声はとても女が出す声には聞こえなかった。

この方は近所に住んでいる秋山昌だ。口だけで男も泣かす女、男が殴ってきても

、殴り返す小学校時代を送った。しかし今は少しは影を潜めている。だから過去

の事は引き出しの隅にそっと置いているだ。それでも怖いので俺は昌の言いなり

だ。

「お前のクラスは図書委員は後一人誰なの?」

お前と呼ぶのかよ。まったく、この女。しかしそこを突っ込んでも、

「あんた何様」

をドスのきいた声で言ってくるので、いつものように受け流す。

「確か男だったような・・・誰だっけ」

「お前は同じ委員会の仲間も知らんのか!」

「すみません。」

あまりの恐さについ反射的に敬語になってしまった。この一年の苦労を想像する

とため息が出た。少したって後ろから足音が聞こえた。

「奈々、何してたの?遅いじゃない」

去年同じクラスだった南奈々だ。綺麗で性格が良いので実は男子から絶大の人気

がある。しかしあまりに綺麗なので誰も告白しないのだ。俺は南を恋人したいと

は思ったことはない。

「昌が先に行ったんでしょ」

と南、

「ごめん、ごめん」

「昌ちゃん、私も図書委員だよ」

その声は南奈々の後ろにいた、俺の隣りの席の彼女つまり笠原真希だった。

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