第十一話 料理(後篇)
第十二話は当分出せないと思います。ここでケーキのくだりが終わります。とても拙い文ですが、たくさんの人に読んでいただきありがとうございます。
「料理(後編)」
萌はもっと緊張してしまい、下を向いて黙って座っていた。俺が何か声をかけたいけど、さっきのように言い間違いたら、また緊張しちゃうだろうからなぁ。
「徹、まだ?」
偉そうな上司のような態度だ。会社勤めは大変だよな。
「もうちょっとだよ」
後、文字入れて、ロウソクつけて……。
「できたよ、完成。昌明かり消して」
明かりが消えてからテーブルに持っていった。思いきって声をかけよう、
「おめでとう、萌ちゃん」
「あっありがとう」
耳を澄まさないと聞こえないほど小さい声だった。なんか緊張をほぐす方法が思いつかないな、駄目だな俺。
「萌、早くロウソクの火消しなよ」
だから昌お前は何様だ。と言っても俺様とか言うタイプだよな。でも女の場合はなんて言うだろう、と馬鹿なことを考えいるうちに萌が小さな息で火を消した。そして俺が電気をつけると……、
萌が下を向いて震えていた。
「どうしたの?」
下から覗き込むと……。腹を抱えて笑っていた。
昌がケーキを見ると笑いながら、
「徹……バカじゃ……ないのハッハッハ。」
昌は腹を抱えてて高笑いした。俺も見ると、「おめでとう」が「おめとう」になっていた。なんか甘そうなお菓子みたいだ。俺も一緒に笑ってしまった。今を思えば相当くだらないが、その時はとてつもなく面白かった。少しして昌が、
「二人とも笑ってないで食べなよ。食べちゃったからもう一つ食べるよ。」
一番笑ったのはお前だろ。「……食べよ」
少し緊張気味に言った。すると萌が小さく首を縦に振った。良かった、少し緊張がとけて。
そういえば、作ったケーキが萌の口に合うだろうか。
「き、緊張するからあんまり見ないで」
俺は気づいたらじっと萌の顔を見てしまった。また顔を赤らめてしまった。
「ごめん」
昌はマイペースに、
「徹、茶持ってきて。」
俺の堪忍袋は切れた。
「いいかげんにしろよ、お前は何様だ!」
「昌様だ、文句あるのか。表出ろ!」
性別関係ないじゃん。
「おいしい……徹くん、これどうやって作ってるの?」
萌はきょとんとした顔で、「二人とも立っているけどどうかした?」
俺と昌はその言葉を聞いて笑ってしまった。萌はとても不思議そうに見つめている。それがまた面白かった。




