第四話 04
「野箆さんの顔を立てられるなら喜んで。野箆さんに顔はないけど」
「三郎丸じゃないと難しそうなんでね。さっきの子、鹿沼さんの友人をたぶらかしているやつが、どうもその妖気の主のようでね。そいつをとっ捕まえるか、最悪でも特定してほしいんだ。場所はぎりぎり縄張りの端にあるホストクラブだよ」
「この辺の妖怪たちの長である野箆さんの縄張りで好き勝手するとか礼儀知らずか世間知らずなやつですね。ホストクラブですか。その友人がホストから金を無心されて、それを第三者であるはずの鹿沼さんにも話が及んだということですか」
「ま、そういうことだろうね。その友人にけっこうな恩義を感じているようだったから。魅了が効いてるといっても洗脳ではないからね。夢に関わることだったから、苦しんだかもね。友人がホストクラブにいる妖怪にたぶらかされて、その影響を受けてしまったようだけど、直接でなくとも魅了が効くのはかなりやばいやつだ。けど三郎丸なら精神系は無効にできるだろう?」
「ええ、まあ、確かに俺向きですね。基本調査でいいんですよね?」
「出来たらとっ捕まえて解決にしたいねぇ。捕まえた場合は家賃半年無料、特定の場合は一か月だね」
「え? そんなにですか。そりゃあ、終わらせたいですね」
「二郎丸も使っていいからね。こちらから言っておくから。じゃあ詳細を話すから結界をこの階まで広げるよ」