第三話 06
数日後。
「やっほー、弟くーん、かわいいかわいいお兄さんがやってきたよー」
どーん! とビル全体に響いて扉が開かれる。また三郎丸ががみがみ言い出す。
「ドアぐらい直したら? お金たくさん手に入ったでしょ?」
「もう古くてパーツ自体がないんだとよ。治すとしたら扉ごと変えないといけないから大事になってしまうらしい」
二郎丸は前回来た時と同じ緑色の髪にくそださジャンパーだった。まあ髪の色はよく変わるけどくそださジャンパーはいつもそうか。相変わらず趣味が悪いようだ。
「今日は暇だから遊びに、……じゃなくて、前の瀬尾さんの報告に来たよ」
三郎丸が一瞬すごい顔をしたからか、二郎丸は途中で言い直した。
「で、どうなった? 瀬尾さん。俺の案件じゃなかったからアフターフォロー入れてないが」
「うん、大丈夫だよ。ちょっと仕事では我が出てきて困ることもあったらしいけど、なんとかしてるってさ。んで、雰囲気が変わってとっつきやすくなったと部下から言われたらしいよ。男性からも女性からも。趣味も仕事にあんまり影響が出にくそうで普及してるやつにしたし」
三郎丸の目つきが鋭くなった。
「怪しいな?! なに植え付けた!」
「ぇー。最近じゃ誰もが普通にやってるやつだよー。女性にも興味がないとか言ってたから、美少女がよく出てくるソシャゲ」
「おい、それダメなやつだ!」
「でもでも、部下とそれで話ができるようになったって喜んでたよ?」
「おいおい、大丈夫なのか大企業。まあほどほどならいいんだけどな」
「昨日も純粋に占いで来てくれたし、ちゃんとアフターフォローはするから弟くんは心配しなくていいからね」
「そうか。まあ上客だから俺もフォロー入れとくわ」
(あんまり安心できねぇなぁ。名刺も受け取ったしな。兄貴の案件だったから記憶も消していないし)
方向性がまったく違いますが以下のものも書いています。
「ゴブリンを率いる少女が治癒魔法とゴーレムで世界を変える」
https://ncode.syosetu.com/n7663gq/
「悪役令嬢は生き延びる」(完結済み)
https://ncode.syosetu.com/n8350ha/
「墓守少女と不死の王」(完結済み)
https://ncode.syosetu.com/n4500fe/