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未完成の英雄  作者: あでぃだす
1/3

消えて亡くなった

───家が燃えている。


円満に運ばれていた日常を誰かが放った光線が襲った。


家は倒壊し、観るに堪えない瓦礫の藻屑と化す。


少し口うるさい母さんと頭が良く何でも教えてくれた父さん、甘えん坊の可愛い妹、皆死んだ。


遠くから聞こえる淡い歓声と住宅街の異常な静けさが孤独を煽る。


少年の家だった何かの周りにはすぐにマスコミが押し寄せた。


齢7歳の少年にズケズケとマイクを向けてシャッターを切る。『家族のいなくなった少年』新聞記事の見開きにはうってつけなのだろう。


後に語るであろう、彼等の言動は怪人のそれであった。


「あなたの家族を殺した怪人をどう思いますか?」と差し出されたマイク。


別にどうも思わなかった。それは余りにも唐突過ぎて。


「やめないか。」とヒーローがマスコミを割いてやって来た。


少年はその姿を見た時ある事を思った。そしてそれは考えを巡らせる事無くすんなりと言葉に出た。


「どうして僕の家族を助けてくれなかったの?」


ヒーローはすんなりと答えた。


「大多数を守る為には多少の犠牲が伴うのだ。」


それは何の当たり障りの無い、単調で簡潔、マニュアルに書かれた様な答え。


颯爽と背を向けてその場を去っていく。


世界が歪んで見えた。それが大粒の涙かそれ以外の何かによる物なのかは分からない。



その日少年の心の中にいた英雄(ヒーロー)は死んだ。



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