街
初投稿から3ヶ月なんですがまだ作中だとまだ3日なんですよね。
アルカに連れられて部屋の外に出たが、やはりここは病院だったらしい。異世界らしいのは確かだが、そこは現代の病院と大差が無かった。また外も同じく、現代とさほど変わらないような建物ばかりであった。
「なんか、俺が元いたところとあまり変わらないんだな」思わずそう呟いてしまった。
「うーんみんなそう言うのよね。どうゆうイメージを持ってるんだか知らないけど」
とアルカは苦笑いをしている。おそらく予想通りの反応だったのだろう。
「えーと、その許可ってどうやって貰うんですか?」
「ええっとちょっと待っててね。この前作った地図があるから」と言いながら、ズボンから紙を取り出した。
・・・アルカはまるで小学生が描いたような地図を広げている。もしかして絵が下t・・・
「何?その目は」
「へっ!?、いやなんでもないです」
「そう、ならいいけど。えーと、今いるのがこの赤い四角の場所。で、許可を得るには黄色の丸の役場に行く必要があるの」
「そうなのか。じゃあこのオレンジの楕円と水色の場所は何の場所なんだ?」
「ええっと、水色の通りは商貨街で楕円の場所は防衛隊の建物ね」
「防衛隊?」
「主に魔物とかから人を守ったり、魔法の研究をしたりするところよ。ほら私も防衛隊に所属してるの。まだまだ位は低いけど・・・」そう言って、ブロンズのバッチを見せている。すると、ぐぅと俺のお腹が鳴った。そういえば朝はまだ何も食べていなかった。
「お腹減ってるの?なら商貨街でご飯買ってから役場に行こう。お金は私が出すから」ありがたくいただくとしよう。そうして俺達は歩き始めた。
「そういえばこの緑の部分は何だ?」
「あー、雑木林とか山の一部のところね。あとこの黄緑の所が国立公園よ」
成程俺はそんなところから来たのか。それにしても、街を探索すればするほど魔法や魔物が存在しているようなファンタスティックな世界には全く見えない。強いて言えば、日本と比べて建築物の構造が若干西洋風になっているくらいだ。・・・しばらくすると、アーケード街のようなものが見えてきた。
「ここが商貨街。食材から武器防具までなんでも揃う場所よ」そこはがやがやと人の行き来の激しい、活気のある商店街の様だった。
「取り敢えずお店にはいりましょ」アルカに連れられて一番近くの店に入った。そこはコーヒーのような
香ばしい香りのする店だった。食事が出るまでの間、少しの不安を感じていた。それは見た目はあまり現代とは変わらないこの地だが、食文化も変わらないのかというところだ。俺自身は基本何でも美味しく食べられる人間だが、度の超えたゲテモノを食べられる自身は無かった。しかしその不安も杞憂だったようだ。出された料理はフレンチトーストのようなパンだった。そのパンのふわふわさととろけたシロップのじんわりと口の中に広がる優しい甘さはまさに喫茶店の味だった。
「うまい!まるで喫茶店みたいな味だの」
「いや、ここが喫茶店以外の何に見えるのよ」
「・・・そういえば今更だけど、会話が成立してるってことは日本語通じてるんだよな」
「うーん通じてるというか、まぁそのニホンゴっていうのが恐らく私たちが使っている言語に近い言語なのは確かだろうね」
「というと?」
「この国には近い言語は自動的に翻訳されて聞こえる結界が張られているの」
「えっなにそれすごい」
「まぁ、凄いって言ってもグランドマスターが凄かっただけだけどね」
「グランドマスター?」
「あーえっと、二代前の防衛隊のトップの人で今の技術とかの基を作った凄い人よ」
凄い人もいるもんだと感心していると、喫茶店のドアが開いた。入ってきたのは高身長で青みがかった黒髪の青年が入ってきた。見た目は和服を着ており、腰に刀を差していた。
「あ、マサじゃん」とアルカがその青年を呼んだ。
「知り合い?」小声で言う。
「そうよ。知り合いっというか友達?」
「アルカ、その僕をマサと呼ぶと父さんも兄さんもマサだからややこしいんだ。だからやめてくれないか」青年はこちらに近寄りながら言った。
「? この子は誰だい?初めて見るけど」
「えーと、外から来た子で・・・
「大変そうだね。それにしても性別が変わるなんて聞いたことがないなぁ」
やはり性別が急に変わるなんてことは珍しいのか。
「ああ、自己紹介がまだだったね。僕の名前はマサキ、一応警備隊の見習いをしているんだ」
「警備隊?」
「えーと、魔物から人を守るのが防衛隊だと悪さをする人から人を守るのが警備隊だよ」つまり警察のような人のことか。
「俺の名前は源野 実幸だ。実幸と呼んでくれ」
「うーん」アルカが唸る。
「どうしたんだ?」
「いやたしかに向こうではそうじゃないんだろうけど、明らかにサネユキって感じじゃないなって。
あ、そうだユキってのはどう?」
「どうって言われても・・・」名前を突っ込まれるなんて思ってもなかった。確かにサネユキって感じの見た目では無いけど。
「アルカは人に命名するのが癖だからね。でもユキっていい名前じゃないか」自分のは嫌がるくせに付けられるのを見るのはノリノリだなオイ。
「じゃあ決まりね。許可もらいに行きましょユキ」
「え、ちょっとそんな急に」
「あ、マサもまた今度」
「また今度〜」マサキは手をひらひらと振っている。
喫茶店を後にして役場に向かった。
春までには一週間は進めたいですよね