准教授と謎の外国人
まだまだ寒いですね、ストーリー上では真夏ですけど。
まだ午前中だというのに外は太陽光線が容赦なく降り注いでいた。集合の15分前に着いたというのに、冷房が寒いくらいかかっている教室には既に仁哉を含む部員全員、昨日の教授そして初めて見る謎の外国人がいた。教室に入るやいなや顧問が話しかけてきた。
「来てくれてありがとう、源野君。私は加藤 哲也、知っていると思うがこの大学の准教授でこのサークルの顧問をしている、ここのみんなからは先生と呼ばれているよ。よろしく」「ヨ、ヨロシクオネガイシマス」急に握手を求められて、驚いてしまった。それにしてもこの人准教授だったのか、知らなかった。すると今度は外国人が近づいてきた。その外国人が動くと同時に部員が小さくおぉっと声を上げる。そして俺の目の前に立つと「初めましテ、ミスターサネユキ。ヨロシク。」と片言の日本語で挨拶をしてきた。そして胡散臭い笑顔で握手を求められた。がっしりとした体形の金髪外国人の迫力に押されて俺はまた「ヨロシクオネガイシマス」と情けない挨拶をしてしまった。冷房はしっかり効いているはずなのに汗が出てきた。「全く、カークのせいで驚かしてしまったじゃないか。」「それはテツヤが急に彼に話しかけてテきたせいだロ?」准教授と外国人が話し合っている隙に仁哉のところに移動して話しかける。
「おい、仁哉。この外国人は何者なんだ?」
「なに、お前あの人を知らないのか!?」
「なんだよそんなにがっついて、有名な人なのか?」
「有名も何も、南米の古代都市タビロホやウボツメ遺跡で新しい文献の発見に貢献して、ゴーストやUFOなどのオカルト研究についても有力な論文をいくつも書いているであのカーク・ブラーテン氏だぞ!?」
「いや、だから知らないって」
「ホントに知らないんですか!?」「あの人を知らないなんて・・・」
仁哉だけでなく、他の部員にも衝撃的だったらしい。特に仁哉の後輩と思わしき女子は目を見開いてまるで化物を見たような反応をしている。そんなに有名な人なのか全くしらなかった。気が付いたら仁哉を含め、部員全員から一定の距離を保たれたまま取り囲まれていた。そこに准教授が割り込んできた。
「源野君済まないがこちらに来てくれないか?カークは君に話がしたくて今日ここに来ているんだ」
そう言って半ば連行されるように別室に連れていかれた。途中部員たちに質問攻めにされた。あいつらはマスコミかなにかかよ・・・
部屋に着くとカーク・ブラーテンと呼ばれている外国人が既に待っていた。准教授は俺が部屋に入るとでていってしまった。謎の外国人と二人きりの中おそるおそる気になっていたことを聞く。
「あ、あの俺に会いたいとはどういうことなんでしょうか?」
するとその外国人は俺の顔をまじまじと見た。そしてしばらくしてつぶやくように言った。
「・・・キミはやっぱりユキノブに似ているなァ」
どういうことだ?なんで見ず知らずの外国人が俺の爺ちゃんを知っているんだ?しかも爺ちゃんは俺が5歳のときに死んでるはずだ。ますますこの外国人の謎が深まる。
「あのなんで俺の祖父の名前を知っているんですか?」
「そうカ、ユキノブが生きているときキミはまだ小さかったのか・・・まぁ簡単にいうとユキノブはワタシの研究を手伝ってくれた協力者だヨ。亡くなってから10年以上経つケド、今ある論文も全てユキノブとの研究が基になっているんダ。カレには感謝してもしつくせないほどだヨ。」
「そう、だったんですかまさか祖父と知り合いだなんて・・・」
「ソウ、そこでテツヤから大学にユキノブの孫がいると聞いてネ、日本に調査に来るついでに一目見ようとそれにカクニンしたいこともあるしネ」
「確認・・・ですか」
「そんなにカシコマラなくてもイイヨ。ただの質問ダカラ。・・・キミは人でないナニカが見えるかい?」
「・・・はい」
「ヤッパリか例えば、どんなモノが見えるンだい?」
「幽霊のようなものとか、モンスターのようなものとか色々・・・ですね」
「じゃあ、自分の身に危険が迫ったコトとかはあるカイ?」
そう聞かれ少し考えたがすぐに昨日の夢の出来事がよみがえる。
「夢の中の話なんですけど、スライム?みたいな奴に襲われて苦しかったというか死にかけたというか、いやまぁ、ただの夢かもしれませんが」
「夢?スライム?もっと詳しく教えてくれないカイ?」
「ええっと、一昨日くらいなんですけど夜寝ると気が付いたら知らない場所にいてそれがやけにリアルでそこでスライムみたいなのに襲われて、あと夢の中でついた汚れとかが朝起きるとついていたんですよ」
「ナルホド、興味深いね」
「え、そうですか?」
てっきりただの夢だとか疲れているんじゃないかとか言って流されると思っていたが真に受けるとは思わなかった。
「そうだ、このことについて何か進歩があったら教えてくれないカイ?」
「でも、ただの夢かもしれませんし・・・日本の調査とか忙しいんじゃないんですか?」
「ハハハ、オカルトはただので済ませたらおしまいだヨ。それに調査といっても日本中を飛び回るわけでもないしネ」
「そう、なんですか」
「ソウ、あとワタシ自身この大学を拠点にして調査するつもりダカラ夏の間は大学にいるつもりナンダ。ダカラ、キミからも何かあったら遠慮せず話して欲しい」
「まぁ、何かあったらあったら来ます。何も起こらないかもしれませんけど」
「それはヨカッタ。すまなかったネ朝から」
金髪でガタイのいいこの外国人いや、カークさんは相変わらず胡散臭い笑顔をこちらにむけた。そして、
「自分勝手で悪いんダケド、これから大学の方に書類を書かなくないといけないミタイデ、少しの間だったケド楽しかったヨありがとう」
そういってこの部屋を後にしてしまった。しばらく残っていたが、スマホのメッセージが凄いことになっていたことに気づき教室を後にした。
この後の半日は地獄だった。教室を出るや否や仁哉含める部員に襲われた。身の危険を感じ咄嗟に逃げようとしたが、数には勝てなかった。それから連行され質問攻めにあった。そこでの部員たちの目は完全にイっちゃってた。怖かった。むしろこいつらの方がオカルト的な何かなんじゃないかと思った。結局2時間半後に准教授に救助されそのまま帰宅した。
もっとサクサク進めようと思ったんですけどなかなかうまくいかないものですね。テンポよく進められるように努力します。