華麗な交渉術
「じゃ、じゃあまずは交渉から、始めましょうか…?」
残念な美人は私にそう話しかけてくる。周りには誰もいないように見えるけど、部屋の外には誰かが要るっぽい。息遣いとか聞こえるしね。強化された聴力なめちゃだめだよー。
「うんー、いいよー。でも、正直めんどくさいから適当に決めてくれなーい?なんでもいいからさー。」
私はめんどくさいので残念美人さんに一任することにする。この人ならそこまで不利な交渉にはならないだろうからねー。
「うぇっ?!いいんですかっ?!じゃ、じゃあ。これでも・・・・・?」
残念美人さんは私に向かって紙を差し出してくる。その紙はこの世界でも最上級であろう位にきれいだ。
「え~っと?私たちの無期限フレンシア滞在権と、賠償金200万と、B級通行権。あー。うん。これでいいよー。」
えっ?という顔でこちらを見てくるけど、もうちょっと吹っかけておいた方がよかったかな?めんどくさいからどうでもいいけど。
「ほ、本当にこれでいいんですか?勝手に攻撃をしてこの街を占拠できるだけの力を持っていて完全にこちらに非がある。それなのに・・・・?」
もーいーからさー。とっととオークさんたちのところに戻っていい?外にいる人たちの会話がうじゃいです。
「はっ、はい!み、皆さん!お客様がお帰りです!宿を用意して入街を待ちなさい!」
はっ!と大きな声を出した後、外にいた人たちは中に入ってくる人と外に出ていく人で別れた。中に入ってきた人たちは私を城壁まで丁寧に連れて行ってくれた。外の人はどうしたんだろうね。宿、とか言ってたけどホテルでも予約しに行ってくれたのかな?
「おー。サナ。なんか変なことされなかったか?!大丈夫か?!」
「うん~。大丈夫大丈夫~。だから方揺らさないで。痛いから~。」
そう、オークさんは私をぐらぐら揺らしてきたのだ。うっぷ。吐きそう。
「あ、あのすいません。そろそろ宿の方に移動していただけないでしょうか・・・・?何分こちらも対応に苦労しておりまして。」
汗をかきながら、青年の声をした(鎧を着た)兵士さんが話しかけてくる。こちらをひやひやしながら見てくるのを見ると面白いとしか思えにゃい。・・・・噛んだ。
「あ~。わかった~。あ、オークさんたち。交渉の結果はこれね~。」
私は一応、オークさんたちにも交渉した紙を渡しておく。
サナが城壁に入る前に寝た後。
「サナって、交渉下手すぎないか?もうちょっと、いい条件あっただろ。おい・・・・。お前ら。」
オークたちは全員が全員、全員を見渡して、頷いた。それすなわち、「サナには交渉させてはいけない。あれは商人には向いていない人種だ、と。」
華麗(笑)
交渉術(笑)