表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/35

衝撃

 “打算的”に付き合っていると思い込んで言い聞かせていたのは……。

 そう彼、オズワルドは言う。

 けれどそれがどんな意味なのかが分からない。


 涙はすでに乾いていた。

 だから振り返り私は、


「オズワルド、それはどういった意味?」

「そのままの意味です。貴方が王子に惹かれているのは、“打算”だからで、本当に異性として恋をしているのではないと」

「……貴方にはそう見えたの?」

「そう、見たかったといった方が正しいかもしれません。ただ、時折貴方は全く別の誰かになっているようにも見えましたから、恋心が王子に向けられていないと私は思ったのかもしれませんが」


 あまりにも鋭い質問に、私はぎくりとする。

 私には二つほど前世の記憶がある。

 それは乙女ゲームのもの、そしてもう一つは先の転生であったこの世界の町娘のものだ。


 貴族社会の常識と共に町娘としての常識と経験。

 それに今まで私は何度も助けられてきたし、貴族という箱入りでない者達の感覚や機微を私はすでに持っていた。

 生まれた時から。


 けれどそれらは全て私が秘密にしていたこと。

 だって私は、“悪役令嬢”となりこの結末に向かうつもりなど、全くなかったから。

 その町娘としての感覚も総動員すれば、この結末すらも変えられると私は信じていた。


 結果はこの様だが。

 でも、そんな貴族令嬢としては“異質”なもの、全てをあの王子は見抜いて抱き留めてくれるような気持になっていたのだ。

 それはそうであって欲しいという私の淡い思いが生んだ幻想だったのだろう。

 

 でなければ、こんな結末を迎えていない。

 けれど今の話で、オズワルドも私の秘密に気づいているようだった。

 適当に使う相手だと私を思っている割に、随分と私をよく見ているな、と今更ながら私が驚いているとそこで、彼は私がさらに驚くような言葉を発した。


 珍しく真剣な表情になったオズワルドは私に、


「私は、貴方が恋愛的な意味で、昔から好きなのです」


 そう告げたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ