言い聞かせる
“打算的”に王子という婚約者と付き合っていると思っていましたから。
オズワルドのその言葉に私は衝撃を受ける。
まさかそのような返事が返ってくるとは、少しも想像していなかったから。
あまりにも驚いたからかもしれない。
涙が止まってしまった。
私は顔を上げて、けれど背後にオズワルドがいるために、泣いたその顔が見られずに済むと想いながら私は、
「それはどういう意味かしら」
「そのままの意味ですよ。貴方は王子の心をつかみ、王妃の座につこうとする野心家だったと、そう思っただけです」
「……王妃の座に興味のない貴族令嬢がいると、貴方は思うの? オズワルド」
野心家だと告げられた私は、確かに王妃の座には興味があるけれど、それは誰でもそうだと言い返す意味で、そう答える。
背後でオズワルドが小さく笑う声が聞こえた。
不愉快だわ、そう私が思って、
「何がおかしいの?」
そう、問いかける。
けれどその問いかけもオズワルドにとって、笑いを誘う物であったらしい。
また少し笑ってからオズワルドは、
「あの、貴方の婚約者である王子を取ったデイジー嬢は、王妃の座に興味がないそうです」
「……だったらどうして、王子と結ばれたの? 王子と結ばれるという事は、王妃となる事でしょう?」
「王子としての彼ではなく、一人の異性として愛した、との事でしょう」
「詭弁だわ」
一言で、終わらせた私。
それにオズワルドがまた楽しそうに笑う。
本当に今日は、妙にオズワルドが笑う、そう私が思っているとそこでオズワルドがため息を一つつく。
先ほどまでに楽しそうに笑っていたのに、と私が疑問に思っているとそこで彼は、
「“打算的”に付き合っていると思い込んで、言い聞かせていたのは……私自身かもしれませんね」
そう、奇妙なことを言い出したのだった。